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"3年の介護と兄のタワマン頭金" 第14話

と自分を納得させていたはずだった。だが今、その声を聞いても、私の臓の鼓つも鐘を打たなかった。

「戻らないよ」

はっきりとした声で言った。

「私はもう、駅のアパートで自分の活を始めたの。敷賃も払ったし、民票も移した。お母さんのの回りの世話をするために、あのへ戻ることは度とない」

「何でよ……!」

母の声が震えた。

「健があんな嘘つきだったのよ!? あんた、実の母親がこんな目に遭わされてるのに、見捨てる気なの!?」

「見捨てるんじゃないよ」

私は線をげ、母の目を真っ直ぐに見据えた。

「お母さんが京へくと決めた、私の介護を『恩着せがましい邪魔て』って切り捨てたのはお母さん自でしょ。私はその言葉を受け入れたの。だから、もう度とお母さんの活に踏み込まないって決めただけ」

「麻子、てめえ……!」

が再びテーブルを叩いてがろうとした。その顔はりと焦りで赤黒く濁っていた。

「調子に乗るのもいい加減にしろ! 俺が曜までにを流したら、おんでやるからな! 親戚にお血さを言いふらして、この元できていけないようにしてやる!」

「どうぞ、好きなように言って」

私は鞄の持ちを握り直した。

「従兄弟の正兄ちゃんには、すでに先週の点で事を話してあるよ。

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の査定も、兄さんが持ってきた区のアパートの資料も、全部コピーを渡してある。親戚の誰に何を聞かれても、客観な事実と数字をそのまま見せるだけだから」

の喉がヒクッと鳴った。 虚勢を張るための逃げが、完全に塞がれたことに気づいた顔だった。

「兄さん、選択肢はつだよ」

私は徹に告げた。

つ目は、このまま話しいを拒否して、のタワマンの期を迎えること。その百万は消えるし、は法定相続分通りに分割調にかけるから、決着がつくまで円も入らない」

が息を呑んだ。

つ目は、都リアルティの売却をに戻して、島の信頼できる司法士を入れて、最初から適正な遺産分割の続きをやり直すこと。実を売るにしても、解体費や諸経費、私がて替えた万を全体の遺産から先に清算して、残りを法律の比率通りに等分する。兄さんの取り分は、タワマンのには到底りない分の百万ちょっとにしかならないけどね」

百万……!?」

は掠れた声を絞りした。

「そんな額じゃ、豊洲の審査なんて通るわけねえだろ……!」

「通らないなら、諦めればいいじゃない。最初から、父さんの遺産を掠め取らなきゃ買えないなんて、兄さんのの丈にってなかったんだよ」

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の膝がガクリと折れ、子にく沈み込んだ。両で顔を覆い、荒い呼吸を繰り返す。 証プライムの課という板も、京での華やかな活という虚飾も、剥がれ落ちてしまえば、ただの見栄っ張りな代の男に過ぎなかった。

私は母に線を戻した。

「お母さん。実に戻るなら、駅のタクシー乗りまで歩器を貸してあげる。でも、私は緒にかない」

「麻子……」

「これからの活は、域包括支援センターに相談して、介護保険の介護認定をちゃんと取り直して。ヘルパーさんとデイサービスを頼めば、でも活はできる。費用は、お母さんのと、いずれ実を売ったに入る千万円以の取り分から払えばいい。健に頼る必も、私を召使いにする必もないよ」

母はを半きにしたまま、呆然と私を見ていた。 そこにいたのは、娘を支配することも、息子に都よく甘えることもできなくなった、ただの齢者だった。

「それじゃ、会社に戻るから」

私はに背を向け、喫茶の伝票をレジへ持っていった。 自分の頼んだアイスティーの代だけを子マネーで決済し、自ドアをた。

たいが、照った頬を撫でた。 空はどこまでもく青く澄み渡り、駅のロータリーを線バスがゆっくりと通り過ぎていった。

が過ぎた。

従兄弟の正から聞いた話では、健は結局、豊洲のタワーマンションの契約を解除したらしい。

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