"3年の介護と兄のタワマン頭金" 第7話
私はやした緑茶をガラスの湯呑みに注ぎ、健のに置いた。健は私の顔を瞥し、軽く片をげただけで、すぐに線を母へ戻した。
「でさ、母さん。もないから、飯いながら本題に入りたいんだけど」
健は元に置いていた革のビジネスバッグから、青いのクリアファイルをつ取りし、テーブルのに並べた。
「佐々さんから連絡いってるとうけど、都リアルティの方で買主候補がもう件見つかりそうなんだよ。ハウスメーカーの営業が、この辺りで形を探してる客を抱えててさ。解体更渡しなら、千百万でほぼ満額で握れそうなんだ」
「千百万……! まあ、そんなになるの」
母は元を押さえて目を丸くした。
「ああ。父さんが昔、角寄りのいい所を買っといてくれたおかげだな。で、これが司法士に作ってもらった『遺産分割協議』」
健は枚の類を広げた。
縦きのったフォントで印字された面の央には、確にこう記されていた。
『被相続 望定男の遺産である記の産については、相続 望健が単独でこれを相続し取得する。の相続である望敏子および望麻子は、本件産に対する相続分を放棄し、何らの代償を求めないものとする』
私はその文面を指先で指した。
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「……単独取得? お母さんも私も、全額放棄ってこと?」
健は箸をかしたまま、気のない声で答えた。
「産の売却決済をやる、名義が何もいると委任状だのち会いだので続きがめちゃくちゃ煩雑になるんだよ。旦俺の単独名義にして、俺が売主として契約を結ぶのが番っ取りいんだ。実務のテクニックだよ」
「テクニックなら、売却代が入ったに母さんと私の法定相続分を分けるって、どこに入ってるの?」
健のが止まった。箸を皿のにカチャリと置き、私を正面から睨みつけた。
「おさ、昨の話でも言ったけど、何でそうやって族ので、って細かい話ばっかりするんだよ。母さんを引き取るのは俺なんだぞ? 京での活の準備、母さんの活費、万がの医療費、全部俺が管理して払っていくんだ。その資を男の俺が括で管理するのが当たりだろ」
「管理するって言うなら、母さんが京のどこでどう暮らすのか、具体な計画を見せてよ」
健は先で笑い、バッグからもうつのい資料を放りすようにテーブルへ置いた。
「ほらよ。おがうるさいから、ちゃんと賃貸の資料も刷ってきたよ」
私はその資料を引き寄せた。
A4のに印刷されていたのは、都内の賃貸物件の取り図と観写真だった。
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【物件名:ハイツコーポの塚】 【所:京都区……】 【交通:武伊勢崎線「ノ塚」駅 バス12分、バス徒歩6分】 【築数:築36】 【取り:1K(6畳、K2畳)】 【設備:エレベーター無(本は2階)、バランス釜呂、式改造トイレ】 【賃料:額5万2,000円(管理費込)】
面を見つめたまま、私の指先がたくなっていった。
「……兄さん、これ何?」
「何って、母さんのむ部だよ。静かでいいところだぞ」
「豊洲からとバスで以かかる所じゃない。しかも築の2階で、エレベーターなし? 母さんはの術をしたばかりなんだよ? 階段のりりもできないのに、2階の部にまわせる気?」
「階段くらいリハビリになるだろ!」
健は声を荒らげた。
「豊洲の辺でエレベーター付きのマンション借りたら、1Kでも賃、万はぶんだよ。そんな無駄払えるかよ。ノ塚なら賃万ちょっとだ。実を売ったから差し引いても、何も余裕で持つだろ」
母は箸を持ったまま、戸惑ったように取り図を覗き込んだ。
「あの……健? 私、あんたのマンションのくにめるんじゃないのかい? 『歩いてける距』って、話で言ってたような……」
健は即座に表を切り替え、母に向かって柔らかな、しかしどこか事務な笑みを向けた。
「母さん、京の理が分からないからそううんだよ。
区から豊洲なんて、鉄使えばすぐなんだから。それにさ、最初からすぎると、恵理にも気を使わせるだろ? 恵理も仕事復帰してピリピリしてるし、翔太のお受験もある。