"父の形見をゴミと笑った夫と五十億円の引導" 第20話
自分の罪を突きつけられてなお、私を利用しようとするその浅ましさ。
この男には、反省という言葉すらしないのだ。
私は彼に向かって、切の慈を含まない最通告の言葉を紡ぎ始めた。
「俺たち夫婦だったじゃないか。ちょっとしたすれ違いがあっただけだ」
志は両をすりわせ、必に作り笑いを浮かべながら私へづこうとした。
その卑屈な顔には、かつて私を見していた頃の威厳など欠片も残っていない。
「あなたがオーナーなら、俺が隣で支えてやるよ。2でこのグループをさらにきくしよう」
あまりにも勝なその言葉に、私はりよりもいれみを覚えた。
「すれ違い、ですか?」
私は子にく腰掛けたまま、極温の声で彼の言葉を遮った。
「あなたは数、父の遺品をゴミと呼び、私に婚届を突きつけてから追いしました」
私は志の目をたく見据えた。
「私名義の通帳には数万円しかなく、く当てもない私をのに放りしたのです」
私は語気をめた。
「それが、『ちょっとしたすれ違い』だとでも言うのですか?」
私の静かな問い詰めに、志の額からタラタラとや汗が流れ落ちた。
「あ、あれは違うんだ。俺が本でやったことじゃない」
彼は言い淀み、背にいる社を瞬だけ振り返ってから、再び私に向き直った。
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「そう、あの社の娘のリナさんに、しつこく言い寄られていたんだ!」
彼は自分の保のために、しい嘘をついた。
「俺は断ったんだけど、断れば会社でのを悪くすると脅されて、仕方なく……」
その言い訳がからた瞬、背で郎社の顔がりによって気に変わった。
「貴様、今何と言った!?」
郎社はからちがり、りで全を震わせながら志を睨みつけた。
「うちの娘がおを脅しただと!?自分から娘にすり寄り、君の方から再婚を申したくせに!」
郎社は志を指差した。
「暁グループのオーナーに向かって、よくもそんな見え透いた嘘がつけるな!」
郎社の激しい声に、志はビクッと肩をすくませてずさりした。
郎社はフラフラとした取りでテーブルにづき、私が放り投げた類に目を落とした。
そして、そこに印字されている数字と項目を見た瞬、彼の目が驚愕に見かれた。
「な、なんだこれは……?架空のコンサルタント会社への送記録だと……?」
郎社は震えるで類を拾いげ、顔をづけて数字を読みげた。
「額は過3で3億円……。しかも送先は、志個の秘密座になっているではないか!」
彼が声を張りげると、志は慌てて類を奪い取ろうとを伸ばした。
「社!違います!それは何かの違いです!」
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志は必に否定した。
「私は会社のために、いざというの裏をプールしていただけで……」
志の苦しい弁を、傍らに控えていた田部が徹な声で打ち砕いた。
「違いではありません。融関への正式な照会で、着履歴まで完全に裏が取れています」
田部が歩にると、郎社はすがるような目で彼を見た。
「田部、彼はこの巨額の裏を体どこから捻していたのですか?」
「当グループが支払った正規の事費からです」
田部は元のタブレット端末を操作し、さらに別の証拠データを表示した。
「彼は現を担当する孫請けの零細業者に対して、原価を割るような当な値げをしていました」
田部は酷に事実を並べた。
「その差額を会社の利益として計せず、自らが設したダミー会社へコンサルタント料として流していたのです」
その説を聞き、郎社はを抱えて呻き声をげた。
「請けを脅迫していた、だと……。そんなことが世にバレれば、が社は業界から完全に追放されるぞ!」
社は志を睨みつけた。
「志!おは自分の実力で利益をしていると豪語していたではないか!」
社の激しい追及に対し、志は顔を真っ赤にして籠もった。
「そ、それは、私が効率に請けを管理した結果であって、決して脅迫などでは……」
「見苦しい言い訳はやめなさい」
私が静かに言い放つと、応接の空気が再び氷のようにたくなった。