"父の形見をゴミと笑った夫と五十億円の引導" 第17話
壁の半分を占めるマジックミラー越しに、豪華な応接の様子がはっきりと見える。
志と郎社がこの部に案内されてくるまで、あと数分。
私のは極の氷のように澄み渡り、彼らへの制裁をすその瞬を、ただ静かに待ち構えていた。
暗く静かなモニタールームの壁には、巨なマジックミラーがはめ込まれていた。
こちら側からは隣の特別応接の様子がに取るように見え、音声もクリアに聞こえる。
私は脇に黒いファイルを抱えたまま、ガラスのにって息を潜めていた。
午3ちょうど。
応接のなドアがき、黒の女性社員に案内されて2の男が入ってきた。
先を歩くのは、志の会社の社である郎だ。
そしてそのろを、真しい級スーツにを包んだ志が胸を張って歩いている。
女性社員が「々お待ちください」とく礼して退すると、内には彼ら2だけが残された。
郎社は、部の豪華さに完全に圧倒されているようだった。
「すごいところだな。理のに、壁には本物の絵画が飾ってある」
彼は落ち着かない様子で周囲を見回し、声のトーンを落として志に話しかけた。
「々のような請けのが、こんな特別に通されるとはにもわなかったよ」
すると志はふんぞり返るようにして、級な革のソファーに腰をろした。
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「社、々は単なる請けではありません。なビジネスパートナーです」
志はを組み、自分のネクタイを自げに直しながら笑った。
「私が、このグループの通信インフラ事業部と太いパイプを築いてきたからです」
彼は得げに言葉を続けた。
「だからこそ、先方もこうして最級の部を用して々を歓待しているんですよ」
その傲な態度を見て、私はガラス越しにたい線を送った。
彼が『太いパイプ』と呼んでいるものは、請けのを利用して現の業者を脅し、裏を吸いげていた結果に過ぎない。
郎社は、志の虚勢を完全に信じ込んでいるようだった。
「本当に、君の営業力にはががるよ。来週、娘のリナと入籍してくれるのだろう?」
「はい。あの底辺の寄虫とは無事に婚が成しましたので」
志は悪びれる様子もなく、私のことをゴミのように言い放った。
「うちの親父も貧乏でしたが、あいつの親父はさらに輪をかけた底辺でしたからね」
志はせせら笑った。
「あんな汚い血筋の女を追いして、ようやく私のにふさわしい環境がいました」
郎社は満そうに頷き、志の肩を軽く叩いた。
「君が次期社として会社を継いでくれれば、が社は暁グループの傘で永に泰だ」
郎社は笑顔を見せた。
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「今回の型契約も、君の力で必ずまとめてくれると信じているよ」
「お任せください。私の交渉術で、さらに利な条件を引きして見せますよ」
2は応接ので、まるで自分たちが世界のにいるかのように笑いっていた。
このい会話で、私にはつのな事実が確認できた。
郎社は、志が裏で巨額の横領をい、請けを脅迫している事実を全くらないのだ。
彼は志の表面な実績だけを見て、会社を任せようとしている。
つまり、私が今からす50億円の違約という爆弾は、郎社にとっても完全に予の撃となる。
志の作りげてきた能なエリートという嘘が、社の目ので々に砕け散るのだ。
私は脇に抱えた黒いファイルのたい触を確かめ、さく息を吐きした。
応接の奥には、彼らが座っているソファーとは別に、段い所にな子が1つだけ置かれている。
この巨グループの絶対な支配者が座る、最座の子だ。
志はまだ、その子のすら理解していない。
自分が、その子に座るから殺与奪の権を握られていることなど、微も像していないのだ。
「希様、よろしいでしょうか?」
背から、京子さんの静かな声がした。
「ええ、分に見極めました。予定通り、先に入してください」
私が頷くと、京子さんは軽く会釈をし、モニタールームをてった。