"五千万円の保険金を狙った実母と十三歳の孫のリュック" 第29話
「幸子さん。ゆみさんが『もう限界だ』と泣きながら帳に文字をいていた夜、あなたは1度でも娘の涙を像しましたか?」
幸子のきがピクリと止まった。
私は酷に告げた。
「娘が残してくれたおで自分のと息子の借を埋めようとしたあなたに、族を名乗る資格はありません。あなたはただの、娘のをい物にした寄虫です」
私は静かに、しかし力く、幸子のを自分のから引き剥がした。
「度と、私たちに関わらないでください」
それは完全な絶縁の宣告だった。
私の言葉のさに、幸子はついにポロポロと涙をこぼしうなだれた。
しかしそれは娘を失ったしみの涙ではなく、自分のが完全に終わったことに対する、自己な悔の涙だった。
警察官の図で、幸子と隆は腕を掴まれちがらされた。
「連れてけ」
パトカーの赤いが2の青ざめた顔を気に照らししている。
彼らは1度も振り返ることなく、玄関のへと消えていった。
やがて数台のパトカーがサイレンを鳴らしながらりっていく音が聞こえた。
その音がざかり、完全に消えた、がには4かぶりに本当の静寂が戻ってきた。
ずっと私のそばで見守ってくれていた弁護士が、く息を吐きしながら言った。
「終わりましたね、佐藤さん」
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私がくをげる。
「はい。先、本当に何から何までありがとうございました。先がいらっしゃらなければ、私はあの子たちを守りきれませんでした」
弁護士は優しく微笑み、首を横に振った。
「いいえ。佐藤さんの、何があっても孫たちを守り抜くというい覚悟が彼らを退けたんです」
弁護士は健とゆみのを讃えた。
「そして何より、健とゆみさんが残してくれた証拠が私たちを導いてくれたんですよ」
弁護士の言葉に、私は目がくなるのをじた。
私はのでき息子夫婦に語りかけた。
『健、ゆみさん。あなたたちの残してくれたいは、無事に形になったわよ。もう誰もあの子たちを傷つけることはできないからね。して眠ってちょうだい』
弁護士がスーツのポケットからあるものを取りした。
「さて、佐藤さん。悪党たちはりましたが、実はまだ1つだけお伝えしなければならないことが残っているんです」
私は驚いた。
「お伝えしなければならないことを……?」
弁護士は静かに答えた。
「はい。健さんたちが、誰にも見つからないように、どうしても佐藤さんにだけは渡したかった、本当の遺産です」
弁護士ののひらに乗せられていたのは、本の古びた鍵だった。
それは事故の4か、私が初めて息子のに入ったに使ったあのの玄関の鍵とは違う、もっとさな真鍮製の鍵だった。
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弁護士の目はとても優しく、そしてしだけしそうだった。
「これは、健さんが公正証遺言を作るために私の事務所を訪れた際、私に預けていったものです。彼らのの奥にある、ある所をけるための鍵です」
弁護士は幸子たちの見落としを説した。
「あのが荒らされていた、幸子さんたちは通帳や権利を探してをひっくり返しましたが、この鍵がなければけられない『かずの扉』があったことには気づきませんでした」
弁護士は鍵の正体をかした。
「健さんたちはあそこに、佐藤さんと子供たちへの本当のメッセージを残していたんです」
私はそのさな鍵を見つめながら、はっと息を呑んだ。
弁護士は提案した。
「、もう1度あのにきましょう。今度こそ、彼らが残したいをしっかりと受け取るために」
のひらに乗せられた、古びた真鍮のさな鍵。
それは属のはずなのに、なぜか議なほど温かくじられた。
私が尋ねた。
「健が、この鍵を先に……?」
弁護士は頷いた。
「ええ。もし自分たちのに何か起きて、残された族が窮に陥るようなことがあれば、この鍵を子お母さんに渡してほしいと、あいつはそう言って私に託したんです」
弁護士の言葉に、私はのひらのの鍵をそっと両で包み込んだ。
健はという恐ろしい男のや、幸子さんの執拗なの無から、いつか自分たちのに危険が及ぶかもしれないと、常に最悪の事態を定していていたのだ。