"五千万円の保険金を狙った実母と十三歳の孫のリュック" 第27話
「け、警察にした……だと……?」
暴力団と繋がっている裏帳簿が警察に渡ったとなれば、彼らは網打尽にされる。
のは、ここで完全に終わったのだ。
その事実を理解した瞬、部の隅で震えていた田幸子の態度が豹変した。
幸子はいつくばるようにしてから距を取り、裏返った声で叫んだ。
「た、社!私たちは関係ありませんよね!」
隆ものひらを返したようにを指差して喚き散らした。
「そうだよ!俺はただ借をしただけで、あんたの裏の仕事なんか何もらねえ!警察にはあんたに脅されてやったって言うからな!」
先ほどまで自分たちの欲のために結託していた悪党どもが、今や互いを売りばしい、保のために醜く喚いている。
これが、おと見栄だけで繋がっていたたちの本当の姿なのだ。
が血った目で隆にびかかろうとした。
「てめえら、俺を裏切る気か!許さねえぞ!」
私の張り裂けるようなが、居に響き渡った。
「やめなさい!」
その声のきさと迫力に、も幸子も隆も、ビクッと肩を震わせてきを止めた。
私はゆっくりとちがり、醜く競りう3の悪党たちを見ろした。
りもしみも全てを通り越した、静かでたい覚悟が私のを満たしていた。
私は静かなりを込めて言った。
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「あなたたちは健とゆみさんのを、ただのおとしか見ていなかった。娘の命に値段をつけ、孫たちの未来を売りばし、自分たちの欲望を満たそうとした。絶対に許しません」
私は幸子をまっすぐに見据えた。
「幸子さん。あなたは母親失格です」
私は言葉をぶつけた。
「ゆみさんがどれだけあなたを恐れ、涙を流していたか、あなたにはわからないでしょう。このにも、あの子たちにもづく権利はありません」
次に隆を見た。
「隆さん。自分の借のために姉を売り、今度は母親を売るのですね。あなたは、自分の犯した罪のさに怯えてきなさい」
最に、を睨みつけた。
「そして、あなたは健を臆病者だと言ったけれど、本当の臆病者はあなたです」
私はを軽蔑して言った。
「いお寄りを脅し、裏の世界に媚びへつらってしかきられないれなです。健は、あなたになんか絶対に負けなかった」
私の言葉に、3は誰1として言い返すことができなかった。
部のは、まるでを打ったような静寂に包まれた。
彼らは完全に敗したのだ。
証拠によって法に追い詰められただけでなく、1の母親の執と覚悟のに、完全に打ちのめされていた。
は負け惜しみを吐き捨てると、乱暴にを翻し、逃げるように玄関へと向かった。
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「クソ、覚えとけよ!こんなところで終わる俺じゃねえ!」
幸子と隆も、の背を追うようにして慌てて逃げそうとした。
「あ、待って!私たちも帰るわ!」
しかし弁護士は彼らを追おうとはせず、ただ静かに計に目をやった。
弁護士がそう呟いた。
「逃げても無駄ですよ。もうは過ぎていますから」
まさにその瞬だった。
ウゥー、ウゥー!
のから、けたたましいサイレンの音がづいてきた。
1つではない。2つ、3つと複数のサイレンの音が、私たちののでピタリと止まった。
赤いパトランプのが玄関の曇りガラス越しに、チカチカと気に反射している。
玄関のドアノブにをかけていたが、弾かれたようにずさりした。
「な、なんだ……」
弁護士がたく放つと同に、から太く威圧な声が響き渡った。
「遅かったですね。もうお迎えが来たようです」
「警察です!浩司、にいるのは分かっている!けなさい!」
から響き渡った声に、の背がビクンときくねた。
は悪態をつきながら、逃げを探すように居と台所をギョロギョロと見回した。
「ち、チクショウ!なんでマル暴がこんなにく……」
しかし、勝の方からもすでに複数の音が、の裏を取り囲む気配がしていた。
完全に包囲されているのだ。
ガチャリと、玄関のドアがからかれた。
「入るぞ!」
のまま踏み込んできたのは、凄みのある目つきをした数の私警官たちだった。