"五千万円の保険金を狙った実母と十三歳の孫のリュック" 第25話
「どこまでにしていただけましょうか、浩司さん」
弁護士は徹な声で言い放った。
「初めまして。私は佐藤子さんの代理を務めております、弁護士の誠です。法侵入はしませんね。靴を脱いでいただけませんか?」
弁護士は、ヤクザのような凄みを持つをにしても、全くひるむことはなかった。
は忌々しそうに弁護士を睨みつけた。
「弁護士だと?だからどうした。こいつらは俺に1000万の借があるんだ」
は脅迫めいたことを言った。
「返すまでの果てまで追い込みをかける。がないなら、このを担保としていただく。法に何か文句があるか?」
弁護士は静かに答えた。
「ええ、いにあります。あなたが田隆とどのような違法な契約を結んだかはりませんが、このとはすでに佐藤子さんの正式な管理にあります」
弁護士は断言した。
「田親子には、このを処分する権限など1ミリも残されていません。健が残した公正証遺言がするからです」
弁護士の言葉に、はチッとした打ちをした。
は別の求をした。
「なら保険だ。健の保険が5000万入るはずになってるはずだ。それをそっくりそのまま俺に振り込ませろ」
弁護士はそれも蹴した。
「それも能です。
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田幸子が偽造した受取変更の類は、詐欺未遂の決定な証拠としてすでに警察に提されています」
弁護士は残酷な事実を告げた。
「保険会社からの支払いは完全にストップしました。彼女たちはあなたに返すおを、何つ持っていませんよ」
の顔がりでどす黒く染まった。
彼はギリッと歯をいしばり、に倒れている隆の胸ぐらを乱暴に掴みげた。
「てめえら、俺をコケにしたのか。保険ももに入らねえだと!?」
は凄絶な声を浴びせた。
「ふざけんな!こうなったら隆、おをマグロ漁にでも放り込んで、タダ働きさせてやるからな!」
隆は泣きわめいた。
「ひいッ!助けて!殺される!」
幸子は恐怖のあまり腰を抜かして、そのにへたり込んでしまった。
私はややかに言い放った。
「あなた方の醜い争いは、ご自分の会社でやってください」
私は毅然として言った。
「ここは健とゆみさんが残した、あの子たちの帰る所です。あなた方のような汚いが、これ以を踏み入れていい所ではありません。今すぐていきなさい」
は私を睨みつけ、フンとを鳴らした。
「調子に乗るなよ、ババア。弁護士が1ついたくらいで勝った気でいやがって」
は凄んだ。
「俺を誰だとってんだ。俺のバックにはもっと厄介な連がついているんだぜ。
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夜には気をつけな。孫の帰りにもな」
らかな脅迫だった。
この男は法律などに介さず、暴力で全てを解決しようとする本物の悪党だ。
ここで彼を追い返したとしても、からどんな卑劣なを使って孫たちに危害を加えるかわからない。
私は瞬、背筋が凍るような恐怖を覚えた。
しかし弁護士は全くじず、ただ静かに鏡の位置を直した。
「さん。あなたが余裕でいられるのも、今のうちですよ」
弁護士はゆっくりと言葉を紡いだ。
「ああ、先ほど、健があなたを会社から追いしたと言いましたね。あなたは健という男の執を甘く見すぎている」
弁護士は鞄のから1枚の古びたUSBメモリーを取りし、テーブルのにコツンと置いた。
弁護士は健の秘密をかした。
「健はね、あなたに逆みされて復讐される能性をずっと警戒していたんです。だから彼は会社を辞めたのあなたの向を密かに追い続け、あなたの裏の仕事について調べていたんですよ」
の顔から、瞬にして余裕の笑みが消えった。
テーブルのに置かれたさな黒いUSBメモリー。
それは傷だらけで古びており、見すればどこにでもあるような代物だった。
しかしそのさな部品から目をせなくなったの顔には、先ほどまでのふてぶてしい余裕は完全に消え失せていた。
数秒の沈黙の、は引きつった笑みを浮かべながら、唾を吐き捨てるように言った。