"五千万円の保険金を狙った実母と十三歳の孫のリュック" 第20話
私は静かにをげ、落ち着いた声でに通した。
「おはようございます。どうぞお入りください」
私がそう言うと、幸子は瞬拍子抜けしたような顔をした。
昨公園で周囲の目を気にしながら座したれな老婆が、今はやけに堂々としているからだ。
3は靴を乱暴に脱ぎ捨てると、ドカドカと音をてて居にがり込んだ。
勝にソファにどっかりと腰をろす。
幸子は品定めするように部の隅々を見回した。
「で、荷物はちゃんとまとまったんでしょうね」
幸子は偉そうな調で言った。
隆がポケットからをしたまま、ガムをくちゃくちゃと噛みながらテーブルをで蹴る。
「通帳とハンコ、それにの権利をさっさとしなよ。俺たちも暇じゃねえんだからさ」
私は3のにあえて丁寧にお茶を3つ置き、静かに向かいの子に座った。
そして、彼らの目をまっすぐに見据えてはっきりと告げた。
「子供たちの荷物も通帳も、あなた方にお渡しするものは切ありません」
私はたい声で宣言した。
「どうぞこのままお引き取りください」
私の毅然とした言葉に、弁護士がわざとらしくきなため息をついた。
は黒い鞄をけた。
「佐藤さん、まだそんな無駄な抵抗をしているんですか?この遺言が見えませんか?」
は昨私に見せつけてきた、あの偽造の共同遺言を取りした。
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テーブルの央にバンッと叩きつける。
はら笑いを浮かべながら私を威圧しようとした。
「これが庭裁判所にされれば、あなたは終わりですよ。痛い目を見るに、しく言うことを聞いた方がのためです。法律のプロである私が言っているんですからね」
しかし私は、その切れをちらりと見つめ、ふっと静かに微笑んだ。
私はの目を見返した。
「先、あなた本当に弁護士なんですか?」
の細い眉がピクリとにいた。
「なんだと?」
私は静な声で、法律の条文をにした。
「民法第975条、共同遺言の禁止。夫婦であっても、2以の物が同の面で遺言をすることはできない。これ、法律の基本の基本ですよね?」
私のからスラスラとてきた法律用語に、居の空気が瞬にして凍りついた。
の顔からすっと血の気が引き、じわりと脂汗が浮かんだのが分かった。
ただの無な寄りが、まさか民法の条文を正確に持ちしてくるとはにもっていなかったのだろう。
私がややかな声で追い打ちをかける。
「こんな法に完全に無効な切れ1枚で、私から切な族の財産を奪えるとっていたのですが?」
は唇を震わせ、言葉に詰まった。
その様子を見て、状況が理解できていない幸子がパニックになり、の肩を激しく揺さぶった。
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「な、何を言ってるのよ!無効ってどういうこと!?」
幸子はを責めてた。
「先、あんたこの類があれば絶対にも親権もに入るって言ったじゃないの!」
はらかに揺した様子で、幸子のを乱暴に振り払った。
「チッ、うるさいな!黙ってろ!」
自分たちの最の武器がただのくずだったと気づかされ、3のに険悪な空気が流れる。
しかし幸子はすぐに気を取り直したように、私に向かって狂ったような笑い声をあげた。
幸子は勝ち誇ったように胸を張り、醜い本性を剥きしにした。
「ふふん、別に遺言なんてどうでもいいわよ。どのみち、健さんとゆみの保険5000万円は私のところに入るんだからね!」
幸子は自分の計画を暴した。
「事故の当の朝、ゆみが保険の受取を私に変更する類をポストに入れたのよ。保険会社にはもう続きの確認も取ってあるわ」
幸子は劣な笑みを浮かべた。
「あんたたちからあのを奪えなくても、その5000万円の現があれば隆の借も全部返せるし、私の老も泰」
やはり、あの受取変更の偽造類の目は、5000万円という額な命保険だったのだ。
娘の命の値段を計算して笑うこの女を、私はの底から軽蔑した。
私はれな虫を見るようなたい目で、幸子を見つめ返した。
「そうですか。それは本当に残でしたね、幸子さん」