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"五千万円の保険金を狙った実母と十三歳の孫のリュック" 第19話

昨夜、弁護士からの話は、私のく沈み込んでいた恐怖を瞬にして打ち砕いてくれた。

「民法第975条、共同遺言の禁止です」

話の向こうで弁護士は、静かにしかしはっきりとした声でそう言った。

本の法律では、2物が同じ1枚ので遺言を残すことは絶対に認められていません。たとえ仲の良い夫婦であってもです」

弁護士は結論を述べた。

「つまり、健さんとゆみさんの2の名が署名され、2の実印が1枚の類に押されているあの遺言は、その点で完全に無効なんですよ」

私ははっと息を呑んだ。

「無効……じゃあ、あのという弁護士はそれがくずだとっていて私を脅したんですか?」

弁護士はあきれたように答えた。

「いえ、普通のは共同遺言の禁止なんていう専な法律識は持っていませんからね」

弁護士はを解説した。

「いかにも本物らしい派なと印鑑を見せられれば、それだけで本物の遺言だと信じ込んで絶望してしまう。という男は相の無を利用してハッタリをかましただけなんです」

弁護士の言葉を聞き、私の胸につかえていたいがすっと消えていくのをじた。

あの親子はどこまでも浅はかで愚かだった。

娘のを利用してを奪おうと焦るあまり、自分たちの首を絞めるようなずさんな偽造をしてしまったのだ。

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弁護士はさらに信じられない言葉を紡いだ。

「それに佐藤さん、実はもう1つお伝えすべきことがあります。これこそが、本当の遺言の話です」

弁護士の声が、しだけ優しく温かいものに変わった。

「健さんは万がの事態を定して、事故の1かに私のところへ相談に来ていたんです。そして、公証役という公の関で、正式な公正証遺言を作成していました」

弁護士は健の本当の遺志を伝えた。

「ここには、『もし自分たち夫婦に何かあれば、残された財産の管理と子供たちの親権は全て、母・子に託す』とはっきり記されています」

その言葉を聞いた瞬、私の目からポロポロと涙が溢れした。

は、ゆみが実の母親から借の肩代わりを迫られ、ひどい言葉で脅されているのをっていたのだ。

そして、自分がもしもの族を守るため、誰にもられずに密かにいていた。

1番信頼できる友の弁護士に全てを託して。

弁護士は力く言った。

「公正証遺言は公証が作成するものですから、どんなきの遺言よりもい法な効力を持ちます」

弁護士は断言した。

田幸子たちが何を目論もうと、佐藤さんが親権と財産管理権を持つという事実は絶対に揺るぎません」

私は涙で声が震えた。

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「先、ありがとうございます。健は本当に最まで、族を守ろうとしてくれていたんですね」

息子が残してくれたが、私のえ切っていたを温かく包み込んでくれた。

弁護士は優しい声で励ましてくれた。

「だからの朝、奴らが来ても絶対に怯えないでください。堂々と迎え撃ってやりましょう」

そして決戦の朝、

1つない青空が広がる、穏やかな午10だった。

ピンポン、ガンガンガン!

の静寂を引き裂くように乱暴にチャイムが鳴らされ、玄関のドアがく叩かれた。

私は居にいた直と美穂、陸の3づき、優しくを撫でた。

「いいかい?3とも、2階の奥の部にいなさい」

私は力く言い聞かせた。

「何があっても、おばあちゃんが呼ぶまで絶対にりてきちゃダメよ。もう怖いことは今で全部終わるからね」

げに私のの袖を掴んだ。

しかし私が力く頷くと、直は弟と妹のを引いて静かに2階へとがっていった。

子供たちの音が聞こえなくなったのを確認してから、私はゆっくりと玄関へと向かい、鍵をけた。

ドアの向こうには、田幸子と息子の隆、そして悪徳弁護士のが、獲物を狙うハイエナのような目をらせてっていた。

警察を連れてくるという昨の言葉はやはりただの脅しだったようで、警察官の姿はどこにもない。

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