"五千万円の保険金を狙った実母と十三歳の孫のリュック" 第18話
私は叫んで駆け寄った。
「直!」
直はハッと顔をげた。
その目には涙が浮かび、恐怖で唇が青ざめていた。
隆が直の肩をく押さえつけている。
直は泣きそうな声で言った。
「おばあちゃん、ごめんなさい。無理やりに乗せられて……」
私は隆を睨みつけた。
「直は悪くないわ。その子からをしなさい!」
私が隆に掴みかかろうとした瞬、幸子が私のにち塞がり、わざと周囲の目を引くような声をあげた。
「皆さん、見てください!この、私の切な孫を誘拐しているんです!」
幸子の切り声に、公園で遊んでいた親子連れや、通りかかった所のたちが斉にを止め、こちらに注目した。
本の宅において、所の目や世体は何よりも恐ろしいものだ。
幸子はそれを熟したで、私を社会に孤させようとしているのだ。
幸子はさらに声で叫んだ。
「この女の息子が事故を起こして、私の娘は殺されたんです!それなのにこの女は、孫たちを質にとってうちの娘が残した財産を独り占めしようとしている悪魔なんですよ!」
周囲から、ひそひそと囁く声が聞こえ始めた。
「あら、佐藤さんのところのおばあちゃんじゃない?」
「息子さん事故だったって聞いたけど……財産目当てで孫を引き取ったの?」
たい線が無数の矢のように私に突き刺さる。
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恥辱と悔しさで顔からがるようだった。
ここで私が言い返せば、ただの醜い言い争いになり、さらに直を傷つけることになる。
私は涙をこらえ、所の目があるで幸子に向かってくをげた。
「お願いです。私をどう罵っても構いません。でも、この子は返してください」
私は面に膝をつき、必に懇願した。
「この子は両親をくしてまだもないんです。こんな怖いいをさせないでください」
直を守るためなら、世体くらい何度でも捨ててやる。
幸子は勝ち誇ったようにで笑い、隆に顎で図をした。
「ふん、いい気ね。でも今はこれくらいで許してあげるわ」
隆がをすと、直は弾かれたように私の胸にび込んできた。
私はその震えるさな背をく抱きしめた。
幸子は私を見ろして言った。
「よ、佐藤さん。の朝10、弁護士と緒に警察を連れてあなたのにがるわ」
幸子は勝利を確信したような笑顔を見せた。
「あの遺言がある以、親権は私にあるんだから。こそも通帳も子供たちも全部私のものになるのよ。楽しみに待っていなさい」
幸子と隆は、周囲のたい線を私に残したまま悠然とっていった。
その夜、私は直をさせてベッドに寝かしつけた、真っ暗な居で1、仏壇のに座っていた。
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の朝10、あの悪魔たちがいよいよ全てを奪いにやってくる。
私が守り抜いてきた証拠を見せるが来たのだ。
静まり返った部に、話の着信音が鳴った。
弁護士の携帯話からだった。
私はすぐに話にた。
「先、夜分に申し訳ありません。実は今……」
私が公園での来事を報告しようとした、弁護士の声がそれを遮った。
「佐藤さん、それよりもすごいことが分かりました」
弁護士はし興奮気に言った。
「が突きつけてきたあの遺言の件ですが、あいつら、とんでもない自爆ミスを犯していますよ」
私は驚いて尋ねた。
「ええ?ミス……?」
弁護士は力く言った。
「ええ。彼らが警察を連れてやってきたら、どうぞのに入れてやってください」
弁護士は私を励ますように言った。
「そので、佐藤さんは何も恐れずに、ただ笑ってやればいいんです」
弁護士は衝撃な事実を告げた。
「なぜなら、あの遺言は……」
話越しに聞こえた弁護士の言葉に、私は自分のを疑った。
そして次の瞬、私の胸のにあった恐怖は完全に消えり、あの悪魔たちが顔面蒼になる姿がはっきりと目に浮かんだのだ。
『夫婦2の名が、同じ1枚のにかれている』
悪魔たちが犯した致命なミスは、たったそれだけのことだった。
欲に目がくらんだ彼らは、最も基本な法律すら調べていなかったのだ。
という弁護士が勝ち誇った顔で私に突きつけてきたあの遺言は、法にはただのくずでしかなかったのである。