"五千万円の保険金を狙った実母と十三歳の孫のリュック" 第14話
弁護士は々しく頷いた。
「ええ、佐藤さんはごないでしょう。しかし、健の会社の事部ならよくっている名です」
弁護士は衝撃な事実を告げた。
「なぜならこの男は、2に健の会社を横領疑惑で懲戒解雇された、元司なんですよ」
私は息を呑んだ。
健の元司。
それがなぜ、ゆみの母親である田幸子と繋がっているのか。
事故は本当に、ただの偶然だったのか。
弁護士のい声が、静まり返った応接に響いた。
「佐藤さん、これは単なる遺産目当ての親族トラブルではないかもしれません」
私はその見らぬ名をゆっくりとので反芻した。
「健の元司……浩司ですか?」
健は、仕事の愚痴をでこぼすような子ではなかった。
だから、会社でどんな関係があったのか、私には全く分からなかったのだ。
弁護士は説を続けた。
「ええ。2に会社のおを横領していたことが発覚して、懲戒解雇された男です」
弁護士は健のをかした。
「実は、その横領の決定な証拠を見つけて会社の層部に報告したのが、健だったんですよ」
私は驚いた。
「健が……」
弁護士は誇らしげに言った。
「健は正義がい男ですからね。見て見ぬ振りができなかったんでしょう」
しかし、弁護士の顔はすぐに険しくなった。
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「しかしはそのことで、健をひどく逆みしていました。『いつか必ず復讐してやる』と周囲に吹聴して、会社をったそうです」
背筋にたい滴が垂れたような悪寒がった。
息子を逆みしている元司と、ゆみの母親である田幸子が、裏で繋がっている。
そんなことが、ただの偶然であるはずがない。
私は震える声で尋ねた。
「まさか、あの交通事故は……」
弁護士は静かに首を横に振った。
「警察の捜査資料も確認しましたが、事故自体は本当に対向の居眠り運転による運な事故です。加害者の運転も傷を負って入院していますし、たちとの接点は全くありませんでした」
弁護士は断言した。
「事故は、本当にしい偶然だったんです。しかし、問題はそのです」
弁護士は元の資料を指先でトントンと叩いた。
「浩司は会社をクビになった、悪びれもせず産コンサルタント会社をちげました。と言っても表向きだけです」
弁護士はの裏の顔をかした。
「実際は、債務者や齢者を狙って違法スレスレので建物をく買い叩く、悪質なげのようなことをしています」
私は状況を理解し始めた。
「そこに、ゆみさんの弟の隆さんが借を作ってしまったということですか?」
弁護士は頷いた。
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「その通りです。おそらくギャンブルか何かでしょう」
弁護士は幸子のを説した。
「隆の作った莫な借を盾に取られ、母親の幸子もの会社の役員として名義を貸すことになった。いわばの言いなりになっている状態です」
そこまで聞いて、私はようやく全てのパズルのピースが繋がり始めたのをじた。
なぜ幸子があれほどまでに、健たちのの権利や通帳を血になって探していたのか。
弁護士は核を突いた。
「健さんたちが無理をして買ったあの。実は今、あの周辺のは、の規模な再発エリアの候補として名ががっているんです」
弁護士の言葉に、私は目を見いた。
「再発ですか?」
弁護士は頷いた。
「はい。もし決定すれば、あのは買ったの何倍もの値段にねがります」
弁護士はの惑を語った。
「は、仇である健のがそこにあることをっていた。だから幸子と隆をそそのかして、健さん夫婦からを奪い取ろうと計画したんです」
弁護士は幸子親子のを推測した。
「幸子は、あのを売ったおで、息子の借を帳消しにしてもらう約束でもしていたのでしょう」
なんて恐ろしいたちだろうか。
幸子は実の娘であるゆみのを、娘の夫を憎んでいる男に売り渡そうとしていたのだ。
ゆみがICレコーダーに残した「もう限界だ」という震える声は、母親だけでなく、背にいる見えない悪への恐怖でもあったに違いない。