"五千万円の保険金を狙った実母と十三歳の孫のリュック" 第9話
ノートを読みめるたびに、私は自分の無力さを呪った。
ゆみは実の母親という逃れられない呪縛ので、1でこんなにも苦しんでいたのだ。
幸子は娘をの対象ではなく、づるとしてしか見ていなかった。
そしてページは、最のき込みへとたどり着いた。
そこには事故が起きた、528の付が記されていた。
私はそのを読んで、全の血が凍りつくような衝撃を受けた。
ただのの無だけではない。
田幸子という女の底れぬ恐ろしさが、そこに確に刻まれていたのだ。
その夜、私はゆみの帳の最のページから目をすことができなかった。
そこには、震える文字でただ、こうかれていたのだ。
『母が、私と健さんの命保険の受取を、自分に変更するための類を偽造しているのを見てしまった』
ゆみの帳に震える字でかれたその文から、私は晩目をすことができなかった。
窓のが々とけ始めるまで、私ののは信じられないといういと激しいりでぐちゃぐちゃになっていた。
実の母親が、娘の命に掛けられた保険を自分宛にする類を偽造する。
そんな恐ろしいことが、この本で、私たちので本当に起きていたというのか。
ゆみはその事実をってしまった、どれほど絶望したことだろう。
広告
自分が信じていた族が、自分をただのおのなるとしか見ていなかったと気づいたのしみは、いかばかりだったか。
私は帳を胸に抱きしめ、音をてずに泣いた。
「ゆみさん、辛かったわね。怖かったわね」
そして、この帳と、直が命がけで守ってくれた通帳や証式を、誰にも見つからないように仏壇の引きしの奥に置く、古い桐箱のに隠した。
これらは息子夫婦が残してくれた切な財産であり、田幸子という女の悪事を暴くための決定な証拠になる。
絶対に渡すわけにはいかない。
朝6。
私は涙で腫れた目をたいで洗い、いつものように台所へった。
トントンと響く包丁の音と、卵焼きの甘い匂いがのに広がっていく。
どんなにしくても、どんなに恐ろしくても、子供たちには温かいご飯をべさせなければならない。
それが、今の私にできる唯の戦い方だった。
目をこすりながら起きてきた直は、昨夜泣き疲れたせいかし顔がむくんでいた。
私はわざとるく微笑みかけた。
「おはよう、直。よく眠れた?今は曜だから、ゆっくりしていけいいのよ」
直もしだけほっりとしたような顔を見せた。
「おはよう、おばあちゃん」
美穂も陸も起きてきて、4で卓を囲む何気ないささやかな朝の景。
広告
この穏やかなを、私は命に代えても守り抜くと改めてに誓った。
しかし、その平穏はくは続かなかった。
朝を終え、子供たちが居でテレビを見始めた午9過ぎのことだ。
ピンポンピンポン、ガンガンガン!
突然、玄関のチャイムが連続して鳴らされ、さらにドアを乱暴に叩く音が響き渡った。
からヒステリックな声が聞こえてきた。
「佐藤さん、いるんでしょう!けなさいよ!」
昨話で聞いたばかりのあの声だった。
田幸子が宣言通りに、に押しかけてきたのだ。
私は息を呑み、居を振り返った。
直の顔からさっと血の気が引き、美穂は陸を抱きしめるようにして部の隅へとずさりしている。
私は3の背を押し、2階へと避難させた。
「丈夫よ、おばあちゃんがるから。あなたたちは2階の部にがって、鍵をかけていなさい」
私は力く言った。
「何があっても、りてきちゃダメよ」
そして、きく呼吸をしてから玄関の鍵をけた。
ドアをけた瞬、幸子がものすごい剣幕で鳴り込んできた。
「遅いわね!何をもたもたしているのよ!」
彼女の背には、見らぬ若い男がっていた。
茶髪でだらしなくスーツを着崩し、ガムを噛みながら私を睨みつけている。
私は毅然とした態度で尋ねた。
「どちら様ですか?」
幸子はで笑って答えた。
「私の息子の隆よ」
幸子は引に玄関のがり框にをかけようとした。
「ゆみがんでしんでいるのに、あなたが遺品の理もろくにしないから見かねて伝いに来てやったのよ。