"五千万円の保険金を狙った実母と十三歳の孫のリュック" 第6話
あのすでに彼女はこのに入り、目当てのものが見つからずに焦っていたのだろう。
幸子はを隅々まで探し回ったが、通帳や保険の証は見つけられなかったのだ。
だとすれば、あのな類は体どこに。
私はちがり、再びリビングへと戻った。
幸子が探しても見つからなかったということは、健かゆみが彼女の目につかない別の所に隠したか。
あるいは。
そこまで考えた、私の脳裏に1の顔が浮かんだ。
学1になる番の孫、直だ。
直は両親がくなって私のに引き取られてからというもの、どこか様子がおかしかった。
しみで塞ぎ込んでいるのだとばかりっていたが、それだけではない。
彼は自分の黒いリュックサックを、片も放そうとしないのだ。
寝るも必ず枕元に置き、私が声をかけても拒んだ。
「おばあちゃんが洗ってあげるから、をしてちょうだい」
直は頑なに首を振った。
「僕がやるからいい」
そして、もう1つ気になることがあった。
の固定話が鳴るたびに、直はビクッと肩を震わせた。
ひどく怯えたような目をするのだ。
私ははっと息を呑んだ。
もしかして、あのさな肩に、たちの汚い秘密を背負わせているのではないか。
私はのを元通りに片付けるのを諦め、ICレコーダーだけをバッグの奥くにしまい込んだ。
広告
これ以ここに居して、幸子さんと鉢わせるようなことがあってはならない。
弁護士に連絡をして、まずはの鍵を交換してもらわなければ。
私は急いで玄関をて、しっかりと鍵を閉めると、に駅へと向かった。
夕方、スーパーで孫たちの好きなハンバーグの材料を買い、に戻った。
私が玄関をけると、美穂が迎えてくれた。
「お帰りなさい、おばあちゃん」
美穂はエプロンをつけて笑顔を見せた。
奥の部では番の陸が、テレビを見ながらしくしている。
私は優しく微笑んだ。
「ただいま、美穂ちゃん。直は?」
私が尋ねると、美穂は配そうな顔をして声で答えた。
「お兄ちゃん、ずっと自分の部にいるの」
美穂は2階を見げた。
「さっきからリュックを抱きしめて、何かを数えてるみたいだった」
胸騒ぎがした。
私は靴を脱ぐのももどかしく、2階にある直の部へと向かった。
階段を登る音が聞こえたのか、部のドアのにつと、で慌てて何かを隠すような物音がした。
私は優しくドアをノックした。
「直、おばあちゃんよ。入ってもいい?」
からくぐもった声が聞こえた。
「うん」
い返事を聞いて、そっとドアをける。
直は机のに座り、自然なほど背筋を伸ばしていた。
その膝のには、やはりあの黒いリュックサックがしっかりと抱えられている。
広告
私はゆっくりと直にづいた。
「直、あのね、おばあちゃん、今パパとママのにってきたのよ」
私がそう切りすと、直の顔が瞬にして青ざめた。
く握りしめたが刻みに震えているのが分かる。
私は穏やかな声で続けた。
「あの、棒が入ったみたいに散らかっていたわ」
私は直の目を見つめた。
「でもね、おばあちゃんは棒じゃないって分かっているの」
私は直のにしゃがみ込んだ。
「直、何かっていることがあるなら、おばあちゃんに話してくれない?」
私は直の震えるを優しく包み込んだ。
「おばあちゃんは絶対に直たちを守るから」
直はきな瞳に涙をいっぱい溜め、私の顔をじっと見つめ返した。
直は何かを決したように、震える声でをきかけた。
そのだった。
ジリリリリリリリ!
1階の居から、固定話のけたたましい呼びし音が鳴り響いた。
普段なら何でもない、ただの話の音だ。
しかし、その音を聞いた瞬、直は鳴のような声をあげた。
直は私のを振り払って、部の隅に縮こまった。
「ちゃダメだ、おばあちゃん!」
直は両でを塞いだ。
「お願いだから話にないで!」
直はガタガタと全を震わせている。
尋常ではない怯え方だった。
私は直の背をさすりながら、必になだめた。
「丈夫、ないわよ。丈夫だから」
しかし話は諦めることなく、執拗に鳴り続けている。