"1800円の御膳が1万8000円になった日――覆面社長が見つけたホテルの嘘" 第17話
返された2万7000円
「もちろんです。ですが、私たちが胸を張ってお迎えできるまで、しだけ待っていただけませんか」
話の向こうで、澄は静かに笑った。
「待ちます。今度は翔太と、同じ炊き込みご飯をべたいです」
その言葉は、逮捕のらせよりもく胸に残った。客を戻すために必なのは派な宣伝ではない。もう度っても丈夫だと、傷つけた本に信じてもらうことだった。
翌から、本社に設けた返班が486件の被害者へ連絡を始めた。会社側に残るPOS、予約記録、井のノート、客が保管していた領収を照し、確認できた差額を1件ずつ返していく。連絡先を特定できない17件については専用窓を残し、返相当額を会社の利益へ戻さず別に確保した。
話をかけても、最初は詐欺を疑って切るがなくなかった。学のに1万円くを取られた男性は、「自分が値段を見落としたとっていた」と何度も繰り返した。退職祝いの事で5倍の請求を受けた夫婦は、族に恥をかかせたくなくて領収を隠していたという。
返担当者は急いで説を終わらせず、何を注文し、何を言われ、なぜ払ったのかまで聞き取った。額を確認する作業であると同に、被害者自の落ち度ではなかったと伝えるためのでもあった。
私は最初の返先として、澄のを訪ねた。
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玄関脇には、さな青い自転が置かれていた。補助輪にはまだがほとんど付いていない。翔太が何度ものチラシを見ていたため、澄の息子が事をり、先に買ってくれたのだという。
居で私は改めてをげ、3000円との差額である2万7000円を返した。慰謝のために用した別のについて、澄は首を横に振った。
「まず、この2万7000円だけ受け取ります。私が違っていなかったと分かるおですから」
彼女は封筒を両で持ち、いそこに印刷された会社名を見つめていた。昼のるい部なのに、私の目にはホテルの柱ので震えていた姿がなる。
「あの、すぐ助けてくれなかったことを、んでいますか」
私は避けてきた問いをにした。証拠を残すためとはいえ、彼女が3万円を渡すのを止めなかった事実は消えない。
澄はすぐには答えず、庭で自転を押す翔太を窓越しに見た。
「怖かったです。でも、あのだけで3万円に戻してもらっていたら、ほかののことは分からなかったのでしょう。だから、次は本当に変わったホテルを見せてください」
会社では、支配が単独で苦を削除できる権限を廃止した。関連当事者との契約は額にかかわらず本社審査を必須とし、客からの評価は独した相談部署にも同保する。
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18舗の順位表も撤廃し、現の全、従業員の申告、返対応を評価へ加えた。
私は各舗の従業員とも数で話し、支配を通さず本社へ届く申告経を説した。会議では言えなかったが、制を脱いだ休憩では次々にてくる。制度をき換えるだけでなく、声をげたが本当に守られるところまで見届けなければ、503件の削除と同じことが形を変えて繰り返される。
松井の懲戒解雇は確定した。井は受け取ったを全額返し、捜査へ協力した、自ら退職を申した。残したノートは被害者を救ったが、加担した責任から逃げないという彼女の判断だった。
3か、改装と全従業員の再研修を終えた方のレストランに、再のが決まった。
私は澄へ話をかけた。
「最初のお客様として、翔太君と来ていただけませんか」