"1800円の御膳が1万8000円になった日――覆面社長が見つけたホテルの嘘" 第16話
18舗2位の終わり
藤堂は濃紺のスーツにの腕計を着け、以と同じ姿で懲戒委員会へ入ってきた。
違っていたのは、席だった。彼が座らされたのは机の端で、正面には役員、監査、法務の担当者が並んでいる。同した弁護士が類を広げるも、藤堂は私を睨み続けた。
「この会社は、私を贄にして助かるつもりです」
藤堂は、利益率ランキングと支配の賞与制度が正をんだと改めて主張した。自分が18舗2位の成績を作ったからこそ、古い方が続できたのだとも訴える。
私は、修正と修正の舗成績を画面へした。
削除された503件の評価を戻し、架空の注費と当請求を除いて再計算すると、藤堂の舗は2位ではない。顧客評価は18舗18位、利益も赤字だった。
「あなたが守ったのは、このホテルではありません。偽物の2位と、自分のです」
藤堂の指が腕計の属ベルトをく握った。
委員会では、1800円と1万8000円の伝票、澄への脅し、503件の削除履歴、井のノート、500万円の録音、36件の請求が順に確認された。藤堂の弁護士も途から言葉数を減らし、本へ何度も声で確認するようになった。
藤堂は突然、井のノートを机へ叩きつけた。
「こいつらが勝にやったことだ。私は数字を報告されていただけだ」
榊原はを見せず、削除操作と請求送信の刻を画面へ映した。
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どちらも藤堂の管理者IDが使われ、防犯映像には藤堂本が端末のへ座る姿がある。さらに、美佐子へ〈今は38〉と送った刻とも致していた。
部へ押しつければ逃げられるとっていた最のも、彼自の操作記録によって塞がれた。
松井は別からオンラインで席し、藤堂の命令があったことを認めた。ただし、自ら客を選び、脅しを繰り返した責任も問われ、懲戒解雇となった。
井については、加担と銭受領をく見て職処分とし、調査終に改めて処分を判断することになった。記録を残して被害確認へ協力したことは考慮するが、それを免罪符にはしない。井は画面越しにをげ、「逃げずに返します」と答えた。
最に、藤堂の懲戒解雇と、会社が損害賠償を請求する方針が全員致で決まった。
「私がいなければ、あのは潰れるぞ」
藤堂がちがり、子がを擦った。
「客を脅さなければ残せないなら、度閉めてでも作り直します」
その、会議の扉がいた。県警の捜査員2が入り、藤堂と弁護士へ面を示す。12で集めた会社資料、座記録、映像、供述をもとに、藤堂夫妻に対する逮捕状がたのだ。
逮捕容疑が読みげられると、藤堂は「経営のためだった」と何度も繰り返した。だが、客から抜いたも、妻の会社へ送ったも、ホテルの修繕や従業員の待遇改善には使われていない。
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彼の腕にはの計があり、自宅には級があった。
捜査員は容疑と権利を説し、藤堂の首からの腕計をすよう求めた。彼は私を振り返ったが、もう鳴る言葉さえ残っていなかった。
藤堂が連れされた、会議にはい沈黙が残った。勝ったという覚はなかった。2097万6000円の数字も、傷つけられた503の記憶も、逮捕だけでは元に戻らない。
廊へると、方の厨責任者から1通のメールが届いていた。休業も料理たちは毎朝だしを取り、再のにが変わらないよう準備を続けているという。添付された写真には、誰もいない厨で湯気をげる鍋が写っていた。
藤堂が作った偽物の2位は消えた。それでも、1800円の料理を真面目に作ってきたたちまで消してはならない。
机ので私のスマートフォンが震えた。表示された名は、田澄だった。
話にると、彼女はためらいがちに尋ねた。
「あのホテルへ、孫ともう度ってもいいでしょうか」