"夫の実家は空き家だった" 第8話
写真のには、恥じるべきものなど何もなかった。
ただ仲のいい族がいた。
「い」
わず言った。
裕介が目を見いた。
「え?」
「すごくいじゃない」
「俺が?」
「とも」
ページをめくる。
裕介がきなケーキので笑っている。
義母が息子の元についたクリームを拭いている。
義父が野球のユニフォーム姿の裕介と並んでいる。
「お父さんもお母さんも、あなたのこと好きだったんだね」
裕介はしばらく写真を見つめた。
「うん」
「あなたも好きだったでしょう」
「うん」
声が震えた。
私はアルバムを閉じなかった。
「これを私に見せるの、そんなに怖かった?」
「怖かった」
裕介は正直に言った。
「若菜がしでも嫌そうな顔したら、分俺、ち直れないとってた」
「そんなに私を信用してなかったんだね」
裕介は顔をげた。
「そう言われても仕方ない」
言い訳をしなかった。
「本当は若菜を信用してなかったんじゃなくて、自分を信用してなかったんだとう」
私は黙って聞いた。
「昔の自分を、自分が番嫌ってた。太ってた自分も、その親に似てるって言われることも、全部消したかったんだ」
「ご両親は何も悪くないよ」
「分かってる」
「それでも隠した」
「うん」
裕介はテーブルので両を組んだ。
「父さんに言われた。俺は昔の同級じゃなくて、自分で自分をずっと笑い続けてたんだって」
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私はその言葉をゆっくり考えた。
たぶん、そうなのだ。
誰かに傷つけられた言葉は、そのがいなくなっても残る。
やがて、自分の声と区別がつかなくなる。
「俺、カウンセリングも受けようとってる」
私はし驚いた。
「会社の相談窓から紹介してもらった。こういうの、自分だけで何とかしようとしてまた嘘ついたらないから」
その言葉で、しだけがいた。
ただ「もうしない」と約束するのではなく、変わるためのを始めている。
それは私が見たかったものだった。
「若菜」
「うん」
「今すぐ帰ってきてとは言わない」
裕介は私を見た。
「でも、もう度だけ俺を見てほしい」
私は答えを急がなかった。
アルバムののをもう度見た。
笑っている。
何もらず、両親のことが好きだった頃の裕介。
「この写真、持って帰って見てもいい?」
私が聞くと、裕介の目に涙が浮かんだ。
「もちろん」
その、私はまだには戻らなかった。
けれどの部へ帰る途、アルバムの入った袋を今までになく切に抱えていた。
翌週の曜、私は初めて本当の義実を訪ねた。
裕介から「両親が若菜に謝りたいと言っている」と聞いたからではない。私自が、今度こそ本当の族を自分の目で見たいとったのだ。
駅から10分ほど歩いた所に、そのマンションはあった。
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築30を超えた、ごく普通の建物だった。
浦のきな館とは全く違う。
裕介は入りので緊張していた。
「ここ、本当だから」
「疑ってないよ」
「そうだよな」
自分で言って苦笑した。
部のチャイムを鳴らすと、義母がすぐにてきた。
「若菜さん」
「あけましておめでとうございます」
遅すぎるの挨拶をすると、義母はし泣きそうな顔で笑った。
内は温かかった。
廊には族写真が何枚も飾られている。
幼い裕介。
学姿の裕介。
成式。
就職した頃。
私がらなかったが、そこには普通にしていた。
「全部隠されてたものですね」
私が冗談めかして言うと、裕介は申し訳なさそうにをげた。
義父が苦笑した。
「こいつが隠したかったのは写真だけじゃなかったようです」
リビングのテーブルには、先送った蟹の箱についていた送り状が保管されていた。
「これで所が分かったんです」
義母が言った。
「裕介から結婚したとは聞いていました。でも、相の名と同じ会社だということくらいしか教えてくれなくて」
「私には、両親はずっとだって言ってました」
義母がしそうに笑った。
「私、に最に乗ったの20よ」
わず笑ってしまった。
義父も肩をすくめる。
「私はさな部品メーカーの営業です。ドバイどころか張は名古が番い」
笑っていい話なのか迷った。
けれどがし笑ったことで、部の空気がらいだ。
義母は卓へ料理を並べながら言った。