"夫の実家は空き家だった" 第6話
アルバイト代を貯めてジムにも通った。
学へむ頃には、もう誰も裕介を太っているとは言わなくなった。
それでものでは、昔の自分が消えなかった。
「誰かに笑われるのがずっと怖かったんだ」
今の裕介からは像できない。
肩幅が広く、体脂肪率まで気にするほど鍛えている。装も清潔で、会社では真面目で落ち着いたとして通っている。
その姿は、努力して作りげたものだった。
「若菜と付きってから、もっと怖くなった」
裕介が私を見た。
「どうして?」
「若菜は綺麗だから」
胸に何かが刺さった。
初めて、裕介のからその言葉を聞いた気がした。
「俺みたいなが付きっていいのかなって、最初からずっとってた」
「私はそんなこと度も」
「分かってる」
裕介はすぐ遮った。
「では分かってるんだ。でも、昔の写真を見せて、若菜が瞬でも嫌そうな顔をしたらとうと怖かった」
私は以のアルバムのをいした。
私が軽い冗談で「げがなかったって?」と言っただけで、裕介は異常なほど慌てた。
ネクタイを派だと言ったもそうだった。
が言った言葉も蘇る。
《若菜のでは完璧でいようとしてる》
その通りだったのだ。
「それで、ご両親に会わせなかったの?」
裕介は頷いた。
「俺が痩せても、父さんと母さんは昔とあまり体型が変わってない。
広告
若菜に会わせたら、俺も昔はこうだったって分かるとった」
義母の目から涙がこぼれた。
「私が太っているせいで、あなたにそんないをさせたの?」
「違うよ」
裕介は苦しそうに顔を歪めた。
「母さんのせいじゃない。俺の問題なんだ」
しかし、その言葉で義母のしみが消えるはずもなかった。
義父が静かにをいた。
「実の話はどう説する」
裕介の肩がまたくこわばった。
「両親がにいるって言ったら、会わせなくても自然じゃないとった」
「まで用したのか」
「あののくに昔の友達がんでて、5から空きになってるってってたんだ」
私はわず目を閉じた。
自分が元にっていたが浮かぶ。
「私、でったの」
裕介が顔をげた。
「え?」
「お賀を渡そうとって、元にあのまでった」
「若菜……」
「隣のに聞いた。あそこは5から空きで、さんなんてんでなかったって」
裕介は何も言えなくなった。
義父がい声で言った。
「度嘘をつけば、その嘘を守るためにまた嘘をつくことになる」
その言葉が部にく落ちた。
「俺が普通の会社員で、俺たちが古いマンションに暮らしていて、族みんな昔から太ってる。それがそんなに恥ずかしかったのか」
裕介は俯いた。
否定しなかった。
それが答えだった。
私は鳴る気になれなかった。
広告
りより、しかった。
「裕介」
「うん」
「あなたは、私があなたのご両親を見たら笑うとってたの?」
「……怖かった」
「昔のあなたを見たら嫌いになるとった?」
裕介はゆっくり頷いた。
「怖かったんだ。軽蔑されたくなかった。失望されたくなかった」
「じゃあ私が太ったら?」
裕介が目をげた。
「を取って、しわが増えて、今と全然違う見た目になったら、あなたは私を嫌いになるの?」
「そんなことない」
「でもあなたは、私がそういうだとったんでしょう?」
裕介は答えられなかった。
私はその沈黙に、番傷ついた。
そののうちに、私はをることにした。
婚を決めたわけではない。
裕介を嫌いになったわけでもない。
けれど同じ部で普通に暮らせる気持ちにはなれなかった。
「しばらくのところにく」
私が寝で着替えや最限の荷物をバッグへ入れていると、裕介がろからついてきた。
「若菜、待って」
「今は話したくない」
「本当にごめん」
「分かってる」
「もう嘘はつかない」
私はを止めた。
「その言葉も、今は信じられないの」
裕介の顔が歪んだ。
「嫌いになった?」
「嫌いじゃない」
私は正直に答えた。
「でも、信じられない」
そのつは同じではない。
優しいだとっている。
今まで緒に過ごしたまで全部嘘だったとはわない。
けれど私が結婚した相は、実の所も、両親の暮らしも、勤務も、族の姿まで偽っていた。
半、私は赤のを義両親だと信じていた。
簡単に「トラウマだったなら仕方ない」