"夫の実家は空き家だった" 第4話
以より荒れている。
玄関脇の植鉢は倒れたままになり、窓ガラスはく汚れていた。郵便受けの周囲にも埃がたまり、どう見ても最までが暮らしていたには見えない。
から帰ったばかりで、まだ掃除が済んでいないのだろうか。
私はそう考え、インターホンを押した。
反応はない。
もう度押す。
やはり何も聞こえない。
買い物にでもているのかもしれない。
そうってので迷っていると、隣のから70代くらいの女性がてきた。買い物袋を提げ、私を議そうに見ている。
「お嬢さん、そのに何か御用?」
「あ、はい。さんのお宅ですよね」
女性の眉が寄った。
「さん?」
「裕介さんという息子さんがいらっしゃる……」
私が説しようとすると、女性はますます議そうな顔になった。
そこへのから夫らしい男性もてきた。
「あの、誰か来てるのか?」
「さんのお宅を訪ねてきたんですって」
男性は首を傾げた。
「なんて、んでなかったでしょう」
私はに持った袋をく握った。
「でも、半までにいて、最こちらへ戻ってきたと聞いています」
夫婦は顔を見わせた。
やがて女性が、し気の毒そうな声で言った。
「お嬢さん。何か勘違いしてるんじゃない?」
「勘違い?」
「あそこはもう、5くらい誰もんでないわよ」
のが頬に当たった。
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何を言われたのか、瞬理解できなかった。
「5?」
「にんでたのはさんじゃないの。確か……川さんだったわよね」
夫が頷いた。
「借か何かあったみたいで、ある急にいなくなったんだ。夜逃げみたいなものだったって話だったな」
「でも……」
私はもう度、を見た。
い塀。
アイアンの。
以、確かに裕介はこのへをめた。
そして言ったのだ。
《ここが俺の実》
《親父が勤務で、今は誰もいない》
違えるはずがない。
同じだった。
「最、誰か入りしていませんでしたか?」
私が尋ねると、女性は首を振った。
「なくともんではいないわよ。たまに産らしいが来るくらい」
私は礼を言い、そのをれた。
駅までどう歩いたのか、ほとんど覚えていない。
勤務という話が嘘だったのか。
それとも実だけが違うのか。
あのレストランで会ったは、いったい誰なのか。
帰宅してからものは理できなかった。
夕方、裕介が帰ってきた。
私は玄関へ迎えにた。
「ただいま。疲れた」
いつもと同じ顔。
いつもと同じ声。
私はすぐに問い詰めることができなかった。
もし、何かい事があるのなら。
先に問い詰めれば、彼はまた閉じてしまうかもしれない。
私はし考えて、リビングに置いてある発泡スチロールの箱を指さした。
「ねえ、蟹なんだけど」
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「うん?」
「こんなにじゃべきれないから、ご実へ送ろうかとって」
裕介のきがほんのし止まった。
「いいね。両親もぶとう」
「じゃあ所を教えて」
私は笑って言った。
たったそれだけの質問だった。
ところが裕介は、瞬だけ目を逸らした。
「ああ……も勤だから、俺が持ってくよ」
「持ってく?」
「コンビニから発送する。若菜は休みなんだから、のんびりしてて」
「所を教えてくれれば私がすよ」
「丈夫。俺がやるから」
裕介は、それ以話を続けなかった。
翌朝。
彼は本当に蟹の入った箱を抱え、仕事へていった。
玄関の扉が閉まったあと、私はけなかった。
5から誰もんでいない。
しない。
そして、どうしても私に送り先を教えようとしない夫。
私はその初めて、結婚して半、自分が夫についてっているとっていたことのに、いったいどれだけ本当のことがあるのだろうとった。
正休みが終わっても、私は浦で聞いた話を裕介に言えなかった。
聞けば終わる。
そんな気がした。
もちろん、夫婦なのだから聞くべきだったのだろう。けれど裕介が族について頑なに話したがらなかったことをいすと、その秘密の奥に私が簡単に踏み込んではいけない事があるようにもえた。
仕事始めのも、私たちは同じようにをた。
「ってきます」
「ってらっしゃい」
会社では部署が違うので、顔をわせなかった。
夜は普通に夕をべた。