"夫の実家は空き家だった" 第2話
派なデートもげさなサプライズもなかったけれど、私はそんなが好きだった。
裕介は普段あまり笑わない。
けれど笑うと、急にのような顔になる。
このとなら、静かな毎を送れるかもしれない。
そうった。
ただ、つだけ気になることがあった。
裕介は族の話になると、いつもほんのしだけ表をくした。
「ご両親ってどんな?」
付きい始めてしばらくした頃、居酒の個で何気なく聞いたことがある。
「うち? まあ、いろいろあったんだよ」
裕介は苦笑いして、すぐ野球の話へ変えた。
私は追及しなかった。
誰にだって触れられたくない過はある。私自、容姿のことで傷ついてきた話を積極にへ話したいとはわなかったからだ。
結婚を考えるようになった頃になって、裕介はようやくこう説した。
「親父が仕事でずっとなんだ。母さんも緒にってて、本にはほとんどいない」
「そうなんだ」
「しばらく会ってないよ」
し寂しそうに見えたので、それ以は聞かなかった。
あの頃の私は、その言葉を疑う理由など何つ持っていなかった。
裕介をに紹介したのは、結婚の話が具体になるしだった。
駅のカフェへ現れたは、そのも派だった。赤と青のをね、きなピアスを揺らしながら裕介をからまで眺めると、挨拶より先に満そうに頷いた。
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「写真で見るより真面目そう。しかもったよりマッチョ。いいじゃん」
「、最初からそこ?」
私が呆れると、裕介は困ったように笑った。
「すごく個性な方ですね」
「そうでしょ。覚えやすくていいの」
は全く気にしていない。
話しているうちに彼女は裕介へ、慮のない質問をした。
「若菜のどこが好きになったの?」
裕介はし考えたあと、「緒にいると落ち着くところです」と答えた。
私はその言葉が嬉しかった。
見ではなかったからだ。
は頬杖をつきながら、私へ線を向けた。
「若菜ってさ、顔いの呪いがかかってるんですよ」
「ちょっと」
「本当じゃん。って見た目で判断するけど、判断され続ける方も結構疲れるの」
裕介は驚いたように私を見た。
私は今まで、彼にもその話を詳しくしたことがなかった。
「そうだったんだ」
その声には同も過剰な驚きもなかった。ただ、らなかった事実を静かに受け止めているだけだった。
やっぱりこのでよかった。
そのはそうった。
ところが裕介が席をした、がコーヒーをみながら声で言った。
「いいだとうよ。でも、ちょっとい」
「い?」
「悪いじゃなくて、自分を守ってるじ。若菜のでは完璧でいようとしてるように見える」
「考えすぎじゃない?」
「そうかも。職業病。の裏側ばっかり考えて脚本いてるから」
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彼女は笑って終わらせた。
それでも、その言葉は胸のどこかへさく残った。
結婚式について、私はげさなものを望んでいなかった。裕介の両親がにいて帰国が難しいということもあり、フォトウェディングと、私の両親や親しい友だけを招いたさな披パーティーにした。
ウェディングドレス姿の私を見た裕介が、その初めてはっきりと容姿を褒めた。
「本当に綺麗だよ」
し潤んだ目でそう言われ、私は驚きながらも嬉しかった。
両親が席できないことについて、裕介は何度も申し訳なさそうにしていた。
「親父の仕事がちょうど事な期らしくて。母さんだけ帰ってくるのも難しいんだ」
「仕方ないよ」
私は疑わなかった。
結婚して半。
活は穏やかだった。
同じ会社でも部署が違うため、仕事に顔をわせることはない。それでも昼休みがなれば堂で緒にべ、休には買い物へかける。
ただ、緒に暮らし始めたことで、以は見えなかった裕介の面に気づくようになった。
彼は失敗や見た目について、った以に敏だった。
ある朝、裕介が締めていたネクタイを見て、私は何気なく言った。
「今のネクタイ、ちょっと派じゃない?」
本当に、それだけだった。
ところが裕介は鏡ので何度も確認し始めた。
「変かな?」
「別に変とは言ってないよ」
「似ってない?」
「だから、そういうじゃないって」