"消印は失踪の3日後" 第10話
さらに帳簿には、正に份を得た々の報が含まれていた。
そのには犯罪から逃げた者だけでなく、庭内の刻な事から逃れた女性や、戸籍を持たずに育ったもいた。すべてを無差別に公すれば、しい活を築いた々まで危険にさらす。
真紀は証拠を公表するに、被害者と加害者を分けようとしていた。
「母は、1で全部を解決しようとしたんですね」
拓の言葉に、絵里はうなずいた。
「誰も信用できなくなっていました。だから、自分で全員を守らなければならないとった。でも、そんなことは誰にもできません」
真紀は正しいことをしようとして、誰にも助けを求められなくなった。
信吾も絵里も、真紀の判断を尊したと言いながら、自分が決断する責任から逃れていた。
事件には、すべてを操った1の犯がいたわけではない。
のために制度を悪用した者がいた。異常に気づきながら仕事を失うことを恐れた者がいた。族を守ると言って真実を隠した者がいた。
それぞれのさな沈黙がつながり、真紀を25、帰れないにしていた。
赤い郵便鞄の内側には、さな縫い目があった。鑑定担当者が布をすと、折り畳まれたい便箋がてきた。
表には《拓へ》とかれていた。
それは、母が最まで送らなかっただった。
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には20061220の付があった。
真紀がくなる8だった。
《拓へ。
あなたが8歳だった朝、帰りにを買うと約束しました。青と緑がたくさん入ったものがいいと言っていたことを覚えています。
私はその、正しいことをすれば夕までに帰れるとっていました。が証拠を見せれば、警察はき、悪いことをしたは捕まり、私はあなたのところへ戻れると信じていました。
けれど、現実はそんなに単純ではありませんでした。
最初の数、私は本当にあなたを危険から守るためにれていました。でもそのも帰らなかった理由を、すべてあなたのためだったとは言えません。
あなたにまれているのが怖かったのです。
私がいないにあなたが幸せになっていたら、現れないほうがいいといました。もし幸になっていたら、それを見るのが怖いといました。
どちらにしても、私は自分が傷つかない理由を選んでいました。
私はあなたを守るためにれると言いました。でも本当は、正しいことをしながら、あなたまで失うのが怖くて逃げています。
いつか会えたら、派だったとは言わないでください。
ただ、会いたかったとだけ言わせてください》
拓はを読み終え、いけなかった。
母は自分のさを分かっていた。
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だからこそ、会いに来られなかったことを美しい犠牲には変えなかった。
「このを、なぜ送らなかったんですか」
絵里は目を伏せた。
「真紀さんは、もう度き直すと言いました。拓さんを苦しませる内容ではないかと迷っていたんです」
真紀が倒れたあと、絵里はを郵便鞄に戻した。信吾へ送ることも考えたが、夫がどこまで事件に関与しているか分からず、決断できなかった。
その、信吾から母のを拓にらせないでほしいと頼まれた。
「私は反対しました。でも最には、真紀さんも、会わないことを選んだのだからと、自分を納得させました」
「それで、父に賀葉を渡したんですね」
「はい。あのなら、いずれ本当のことを話すといました」
誰もが、いつか別の誰かが真実を話すとっていた。
庭局は、証拠が全に公表できるを待った。信吾は、息子がになるを待った。絵里は、事件の関係者が力を失うを待った。
待っているに25が過ぎた。
拓は赤い郵便鞄とともに岐阜へ戻った。空港には信吾が迎えに来ていたが、拓は父のには乗らなかった。
「母さんの墓はどこにあるの」
信吾は絵里から送られた通とともに、の寺の名を聞いていた。しかし自分では度も訪れていなかった。
「く資格がないとった」
「かないことを、また資格のせいにするのか」
拓は父を見た。
「くかどうかを決めるのは父さんだ。でも、かなかったことまで母さんのためだったように言わないでくれ」