"葬儀代10万円を拒んだ叔父――17年後、空の封筒を持って私は戻った" 第16話
6軒のと最の取引
それから3か、健造の会社の板がろされた。
捜査と並して台帳の17件が精査され、さんを含む12が証言した。産の取得が確認された6件は、すでに第者へ売られたものもあり、すべてがそのまま戻るわけではなかった。それでも、弁護団は差し押さえ能な資産と売却の流れを追い、被害者ごとに返還と賠償を求めた。
佐藤さんのは登記を移されるに止められ、直の効な残債務は158万円で確定した。私が用した160万円から支払い、2万円はそのまま戻ってきた。健造が請求した2000万円との差は、1842万円だった。
さんのはすでに無関係の族が購入していたため、け渡しを求めなかった。代わりに売却と個座へ流れたの返還を求め、彼女は「泣き寝入りした12は戻らないけれど、私のせいで失ったのではないと分かった」と話した。起こしたの値段を、額だけで測らない言葉だった。
佐藤では、直が休ごとに帰り、漏りしていた根を修理し始めた。佐藤さんは「の問題は終わっても、親子の問題はこれからだ」と言い、直にづちの持ち方からやり直させた。
直は夜配送の仕事を続け、毎5万円ずつ私へ返すと申した。私は受け取らず、父親の活費との修繕に使うよう伝えた。
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がて替えたで再び父親をさせたつもりになるな、とも。
刑事事件の続きは終わっていなかったが、健造は代表を解任され、経営権も信用も失った。彼が「決してさない」と言っていた自宅も、被害回復の原資を確保するため仮差押えの対象になった。
私は鈴とともに、拘置が解かれたの健造と、弁護士事務所で向きった。仕ての良いスーツは変わらないのに、を射すくめるような目のは消えていた。
「会社まで潰す必はなかっただろう。おと私は、血の繋がった内じゃないか」
健造は、くも声に涙をにじませた。あのの、母と私を見捨てた男が、今になって「内」という言葉にすがろうとしている。
「17、母も同じ言葉を信じていました」
健造はしばらく黙り込んだ、あのは現がなかった、母の葬儀が急すぎた、私がもっとく来れば違ったと言い始めた。けれど、私はあのの言葉を語も忘れていない。彼は現がないとは言わなかった。「んだにをかけて何になる」「貸すは1円もない」と言い、そので私の頬を蹴ったのだ。
「おがなかったのではない。母と私のために使うが、あなたのになかっただけです」
健造は目を伏せた。もう「忘れた」という逃げさえ残っていなかった。
「悪かった。葬儀代の10万円は払う。
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いや、100万でも、1000万でもいい。だから、たちに訴えを取りげるよう言ってくれ」
卓で、健造のがわずかにいた。座をするつもりなのだと気づき、私は静かに止めた。
「やめてください。私は、あののあなたと同じにはなりたくない」
「じゃあ、どうすればいい」
「被害を受けた12それぞれに、あなた自の言葉で事実を認めてください。そのは、警察と裁判所の判断に従ってください」
「おは、私から何も奪わないのか」
「奪うのは、今もあなたがしていることです。私は、返すべきものを返してもらうだけです」
内には計の秒針の音だけが残った。健造は終始、私に負けたことを恐れていた。しかし彼が本当に向きうべきなのは、私ではない。契約の向こうにいた12と、額に置き換えて捨てた17分のだった。
私は席をった。廃棄された10万円の記憶を1000万円で買い戻そうとするに、これ以伝えることはなかった。
建物をると、佐藤さんから着信があった。
「君。そろそろ、あの10万円をどうするか決めようじゃないか」
私はコートの内側にある古い封筒に触れた。は17から空のままだった。