"葬儀代10万円を拒んだ叔父――17年後、空の封筒を持って私は戻った" 第15話
庫になかった原本
話の主は、経理担当の絵里だった。鈴が警察へ連絡し、絵里と会う所に指定されたのは、健造の会社から5分ほどれた交番の会議だった。
絵里はいコートのからキャンバスの袋を抱え、子に座っていた。顔は青く、廊で靴音がするたびに肩が揺れた。
健造が連された、絵里の携帯話には非通の着信が8回残っていた。留守番話に言葉は入っていなかったが、呼刻は最の1回だけが午213分だった。絵里が自宅に戻ることを拒んだため、警察は彼女の希望を聞いて全な所への移を配していた。
「をる、データを持っていくか迷いました。見つかれば、何をされるか分からなかった」
彼女が抱えていた袋の持ちは、汗でが変わっていた。田刑事はすぐに袋を取ろうとはせず、絵里につずつを説させ、別の捜査員がその様子を映像に残した。
「7、私が帳簿を作っていました。お客様に見せる返済表と、社が使う回収表は別です」
袋からてきたのは、さ4センチほどのファイルと3本のUSBメモリだった。契約、領収の控え、請求、振込の照表、会計システムから力した次データ。きのノートではなく、別々の所に残った記録が、同じ付と額で致していた。
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「なぜ、これを庫に入れなかったのですか」
田刑事が尋ねると、絵里は両を膝ので握った。
「半、社から古いデータを全部消すよう命じられました。任者はパソコンが壊れたに備え、末ごとにとUSBの両方で残していたんです。私は怖くなって、廃棄箱から回収しました」
データには削除命令のメールも保されていた。さらに、6つの産それぞれに「対価格」と「処分価格」が並び、差額の部が健造個の管理座へ振り替えられていた。
同じ数字は、ファイルの請求、の入履歴、会計システムの操作履歴にも残っていた。つのノートなら「勝にいた」と言える。しかし、異なる4種類の記録が同じ取引を示し、健造の個座まで繋がっていた。彼が「復讐のために作られた証拠」と呼んだものは、彼自の会社ので、7積みがっていたのだ。
さんの自宅は800万円で取得したことになっていたが、売却の入は3100万円。そのうち760万円が、3回に分けて健造の座へ移されていた。佐藤さんの欄には、まだ実現していない3500万円の売却予定と、健造の取り分までかれていた。
私は、絵里に会社の掲示板で仕事を紹介できると伝えかけたが、すぐに言葉をみ込んだ。証言と引き換えに援助したと受け取られれば、彼女を傷つける。
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鈴も同じことを考えたらしく、私へさく首を横に振った。
「お礼はいりません」
絵里は、証拠品預かりに署名しながら言った。
「ただ、お客様が払ったおを、払っていないことにする仕事を、もう終わらせたいんです」
その夜、健造側の弁護士は、記者へ送った声を取りげた。しかし、代わりに私へ1枚の解案を送ってきた。
解案の表には「親族紛争の円満解決」とかれていた。けれど、さんを含む別の被害者については「黒川が責任をもって説得する」とあった。自分が奪ったものを返すことで、私にのを閉ざせようとしていた。
佐藤の請求を撤回し、2000万円の債務もすべて放棄する。その代わり、私とさんたちは被害届と返還請求を取りげる。
鈴が読み終えるに、私は類をテーブルへ戻した。
「断ります。佐藤さんのは、健造の取引材料ではありません」
鈴はそのでさんと、連絡が取れたの被害者全員に内容を伝えた。返事は同じだった。「おだけではなく、事実を残してほしい」。私は12の代わりに決めたのではない。彼らが自分の声で、健造の最の取引を拒絶したのだ。