"葬儀代10万円を拒んだ叔父――17年後、空の封筒を持って私は戻った" 第13話
63件の問いわせ
翌朝9、私は京の本社で緊急記者会見をいた。
会見に選んだのは豪華な応接ではなく、普段は研修に使っている会議だった。机のにはマイクが3本、背のスクリーンには「500万円」と「2000万円」の数字がきく並んでいる。始から、記者たちの画面には「私怨」「録音」「圧力」という文字が表示されていた。
会見の30分、取締役の1は「沈黙すれば数で収まる」と私を説得した。、はじめて株価がきくがっている。受注を検討していた2社からも、経緯がらかになるまで契約を保留すると連絡が来ていた。
「私が黙れば、収まるのは会社への問いわせだけです。被害者は、また黙らされます」
私は事件への対応費を個で負担し、社内に独した調査担当を置く面に署名した。経営の判断と、私個の過を混ぜないためだ。それを確認した取締役は、何も言わず会見の扉をけた。
「黒川社、親族への復讐のため、会社の員と信用を使ったのではありませんか」
最初の質問は予どおりだった。広報部が止めるに、私は「はい」と答えた。内がざわつく。
「私が健造を許せないことも、17の来事を忘れていないことも事実です。しかし、数字は私ので変わりません」
私が図を送ると、画面が切り替わった。
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元500万円、18かの入420万円、顧客への請求2000万円、社内査定2800万円、譲渡価格1000万円、転売予定3500万円。記録と登記報で確認できた項目だけを示し、被害者の氏名と所は隠した。
「なぜ、健造氏との会話を録音したのですか」
「事に同型の契約を複数確認し、産の押印を迫る能性があったからです。映像は仮設カメラ、音声は私の器で別々に保全しました。その、警察が会社の保管庫から別管理の台帳を押収しています」
鈴が台帳の概を説した。貸付け17件、産取得6件。その数字が読みげられると、民事の親族争いだとっていた記者たちのが斉にき始めた。
別の記者が、会社の資源を使って子データを解析したのかと追及した。私は、自社の技術者を員していないこと、資料の照は鈴の事務所と部の調査会社がったこと、その契約と費用の支払記録も示すると答えた。
「親族だから疑うというのなら、それは正しい態度です。ですから、私の言葉ではなく、通帳と契約と登記を見てください」
会見の空気が、わずかに変わった。私へ向けられていたカメラのいくつかが、スクリーンの数字へ向き直した。
私は最に、ガラスケースへ入れた古い封筒をテーブルの央へ置いた。表には「1万円×10」とかれている。
「17、健造は母の葬儀に必だった10万円を拒み、私たちがんでいたをくに入れました。この封筒をくれたのは、親族ではなく隣です。私は過を隠しません。その代わり、健造側にも、消した数字をすべて説してもらいます」
会見を閉じようとした、方の扉がいた。柄な女性が、褐の類袋を胸に抱えてっていた。
「私も、12にを取られました」
女性は記者たちの線にわずを止めたが、類袋を握り直し、まっすぐ私の方へ歩いてきた。
鈴が記者以の入者に気づいてちがったが、女性は「分も資料も確認していただきました」と告げた。その声には、12忘れられなかっただけの覚悟があった。