"葬儀代10万円を拒んだ叔父――17年後、空の封筒を持って私は戻った" 第7話
500万円が2000万円になる契約
受け止めたファイルはで端が湿っていた。私は軒へ移し、佐藤さんにも見える位置で類をいた。
借主は佐藤さんの息子、直。さな内装会社を始めるために借りた元は500万円で、佐藤さんは連帯保証として署名していた。そこまでは事調査の内容と致している。
問題は、そのだった。
返済表には18かで計420万円を支払った記録がある。しかし請求では、その420万円の半が数料と利息に振り分けられ、元はほとんど減っていない。途からは利息が元へ組み込まれ、さらに11万円の遅延損害がねられていた。
付を追うと、直が遅れずに振り込んだにも遅延が加算されている。振込額と領収額が致しないも4回あった。計算違いではない。返済しても完済できないよう、から数字を作り替えた痕跡だった。
「利109%……」
私が読みげると、佐藤さんの肩がきく揺れた。
「そんな数字は聞いていません。息子からは、よりしいだけだと……」
「契約にいてあるだろうが」
健造は悪びれずに答えた。だが、最初の説には利がさな別へ分けられ、その別には直の受領印がない。返済途で作り直された計算表にも、額の根拠が示されていなかった。
私はページをめくりながら、ので数字を組み直した。
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420万円の支払いを反映し、法定の範囲で計算し直せば、効な残額は2000万円からは程い。鈴の精査が必だが、佐藤さんがを失うような額ではなかった。
私はなページをスマートフォンで撮し、原本の並び順も記録した。健造の若い部が類を取り戻そうとを伸ばしたため、ファイルを閉じずに体の向きを変える。「2000万円を受け取りたいのでしょう。ならば確認が終わるまで触らないでください」と告げると、健造が部を鳴って止めた。
最のファイルから、産譲渡承諾がてきた。所はこの、名義は佐藤正。譲渡価格の欄には1000万円とあるが、付と佐藤さんの押印欄は空になっていた。
「今、この類へ実印を押させるつもりだったのですか」
「借を返せないんだから当然だ。を1000万円で引き取って、残りも払わせる。それが嫌なら2000万円を現でせ」
私は庭とを見回した。建物は古いが、駅から徒歩圏内にあり、だけでも事査定は約2800万円だった。1000万円で奪い、なお1000万円を請求するなら、健造は実質2800万円の資産と1000万円の請求を同にに入れることになる。
「このが1000万円という査定はありますか」
「うちの会社が1000万円と判断した。それで分だ」
「貸業の登録番号が、どの類にもありませんね」
私が指摘すると、若い男が健造の顔をうかがった。
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健造は瞬だけを閉ざしたが、すぐに声を荒らげた。
「にを貸すのに登録なんか必あるか。余計なところばかり見るな」
への度きりの貸付けなら、その言い訳もできただろう。しかし鈴が確認した被害者は12いる。同じ形式の契約と産移転が6件あり、健造は会社として継続に利益を得ていた。
類には、それぞれ異なる跡で訂正された数字が並んでいた。正式な説よりも、から作られた請求表の方がしく、会社印の位置まで自然にずれている。母の菓子缶に残っていた類と同じだった。相が疲れ果て、反論できなくなったに条件を差し替える。それが健造のやり方なのだ。
私は類を閉じ、切のケースへを置いた。
「分かりました。法に残っている額なら、私が今支払います」
健造の元に、勝利を確信した笑みが戻った。
「その代わり、2000万円になった計算と、このを1000万円とした理由を、あなた自ので説してください」