"「ただいま」と笑う夫を家族全員で無視した" 第9話
エプロン姿のまま反論する私に対し、義母はを鳴らし、全く信じようとはしなかった。
「ふん、仕事ねぇ。久史さんから分すぎるほどの稼ぎをもらっているでありながら、その自分までにて働いているなんて、よっぽど贅沢で裕福な暮らしがしたいのかしらね。……だったら、私がこうして孫の面倒を見てあげているんだから、相応の『ベビーシッター代』を払ってもらおうかしら?」
義母はを差しし、私に現を求してきたのだ。 私はあまりの理尽さに眩暈を覚えながら、絞りすような声で言った。
「……お義母さん、そんな……。久史さんから、毎分な仕送りがそちらにっているはずですが……」
その言葉がた瞬だった。 義母の眉がピクリとねがり、その表から嘲笑が消え失せた。
「……は? 仕送り? 体何のことよ」
「え……?」
「仕送りをもらうどころか、こっちが毎、あの子に頼まれて『単赴任の当がりないから』って、遣いを振り込んでやっているのよ!?」
静寂が、部を支配した。 私と義母は、お互いの顔を信じられないものを見る目で凝しった。
「お、お母さん……それ、本当ですか……!?」 「本当も何も、通帳を見せてあげましょうか!? あんたこそ、何をおかしなことを言っているの!?」
私たちはリビングのテーブルに向かいい、お互いのスマートフォンのアプリと通帳を突きわせ、詳細な取引履歴を確認しった。
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結果はだった。 どちらも、嘘などついていなかったのだ。 久史は「実のを救うための仕送り」を実に私の活費を万円にまで削り落とし、その方で、義両親に対しては「会社の都で料が減らされ、活費がりない」と泣きつき、毎万円以の遣いを親から巻きげていたのである。
互いに騙され、利用されていたことを悟った義母は、顔から血の気を引かせ、ソファーにく腰を落とした。 「……子さん。私、あなたをとんでもない悪妻だと誤解していたわ。本当にごめんなさい……!」 義母は々とをげて謝罪してくれた。 私もまた、胸につかえていたのしこりを吐きすようにをげた。
「私こそ……男の子を産めなかったせいで、お父さんとお母さんから嫌われているのだとい込んでいて……本当に申し訳ありませんでした」
「……はあ!? 男の子ですって!?」 義母は目を丸くして叫んだ。 「そんなこと、私ら夫婦はこれまでので度たりともったことも言ったこともないわよ! 男の子だろうが女の子だろうが、久史の切なが子で、私たちの初孫なんだから、いに決まっているじゃないの!」 義母は私の膝のにいた未優を抱きしめ、目尻に涙を浮かべて優しい笑顔を見せてくれた。
すべては――すべては、久史が自分自の誠実さを誤魔化し、私を孤させ、親族同士を分断するために吐いた、真っ赤な嘘だったのだ。
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「あの子……体、何を考えているのかしら……! 私たち族全員に、こんな汚い嘘ばかり吐き散らかして……!」 義母がりと悔しさで震えていた、まさにそのだった。
トントン、と慮がちなノックの音とともに、晃が血相を変えてがへとび込んできたのだ。
「子さん! お義母さんもいらしたんですね! ……これ、読みましたか!?」
晃がテーブルのに広げたのは、今朝の朝刊の経済面だった。 そこには赤ペンできく囲まれたつの記事があった。 久史が勤める企業が、規模な働き方改革と育児支援の環として、「未就学児を抱える子育て世代の社員に対する方転勤を、原則として全廃・即撤回する」という方針を発表したというニュースだった。
記事を指差しながら、晃が切迫した声で言った。 「もしこの制度が適用されているなら……久史の単赴任そのものが、最初から会社の命令なんかじゃなかった能性がある。あるいは、とっくに本社へ戻る辞令がているはずなんだ」
「えっ……!? だったら、久史さんはもう帰ってこられるはずよね……?」
真実を確かめるため、私は震えるで久史の番号へ話をかけた。 しかし、コール音すら鳴らず、械な留守番話のアナウンスが流れるだけだった。義母が自分の携帯からかけ直しても、結果は同じだった。