"「ただいま」と笑う夫を家族全員で無視した" 第6話
季節れのたいがる夜だった。 もない未優が、突然激しく咳き込み、顔を真っ赤にして泣き叫び始めたのだ。慌てて額にを当てると、傷をしそうなほどの気が伝わってきた。体温計を脇に挟むと、液晶画面に表示された数字は「度分」――度にい異常なだった。
呼吸は浅く荒くなり、未優のさな胸が激しくしている。 「未優……! 丈夫よ、今すぐパパに連絡して、病院に連れてってもらうからね……!」
私は震える指先で久史のスマートフォンへ話をかけた。 プルルル、プルルルと呼びし音が空しく響くだけで、回、回とコールを繰り返しても、久史が話にることは切なかった。 「お願い、て……! 未優が危ないのよ……!」 祈るようないで何度もリダイヤルしたが、やがて無にも留守番話サービスのアナウンスへと切り替わってしまった。
刻は夜零を回っていた。 脚はまり、タクシーを呼ぼうにも配アプリは「空なし」の表示を繰り返すばかり。苦しそうに呻くが子をにして、刻刻とが奪われていく恐怖に私の精神は限界を迎えていた。 追い詰められた私は、なりふり構わず、晃の番号へと話をかけたのだった。
『もしもし、子さん? こんなにどうしたの?』
「晃さん……! ごめんなさい、未優がをして識が朦朧としていて……! 久史さんにも全然連絡が取れなくて……私、どうしたらいいか……っ!」
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涙声で取り乱す私の言葉を、晃は瞬に理解してくれた。 『すぐにく! かさずに待ってて!』
通話を切ってからわずか分も経たないうちに、晃はをばしてがへと駆けつけてくれた。彼は濡れたコートを脱ぎ捨てるなり、ぐったりとした未優を毛布ごと優しく抱きかかえ、私を助席に乗せて夜救急病院へと急してくれたのだ。
病院の救急来で、医師による迅速な処置がわれた。 血液検査の結果、未優は篤なウイルス性疾患を引き起こしており、脱症状もんでいたことが判した。 初老の医師は、点滴を受ける未優の寝顔を見つめながら、険しい表で私に告げた。
「お母さん、よくこの帯に連れてきてくれましたね。もうし発見や受診が遅れていたら、性痙攣から急性脳症を引き起こし、い脳障害が残っていた能性すらありましたよ」
医師のその言葉を聞いた瞬、私は腰から砕け落ちそうになり、診察の壁にをついた。 堵の涙が次から次へと溢れすと同に、私の胸のに、夫・久史に対する凄まじいりのマグマが噴していた。
晃が付き添ってくれたおかげで、未優は入院することなく翌朝にはも微程度までがり、薬を処方されて帰宅することができた。 しかし、私が病院へ向かう最も、処置を待つも、久史へは何度も着信を入れ、LINEでも「未優が度のをした、至急連絡を」
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とメッセージを送り続けていたのだ。 それにもかかわらず、昼になってようやく玄関のドアをけて帰宅した久史のからたのは、謝罪どころか、呆れ果てるような言葉だった。
「未優が変だったのよ!? 命に関わる状態だったの! しも配じゃなかったの!?」
詰め寄る私に対し、久史はスーツの着を指先で引っ掛け、あくびを噛み殺しながら平然と言い放った。
「仕事だったんだよ。会議に話なんかられるわけないだろ。だいたい、俺が病院に駆けつけたところで、医者でもない俺に何ができるわけじゃないだろうが」
「病院へで連れてくことくらいできるでしょう! あなたは父親なのよ!?」
「そういうの、いちいち面倒くさいんだよ。……で、結局、薬もらって無事だったんだろ? だったら結果オーライじゃん。何をごちゃごちゃ騒ぎててんだよ。俺は昨夜の残業で疲れてるんだから、寝かせてくれ」
久史は私の必の訴えを虫を払うようにで遮ると、寝へと向かい、ベッドに潜り込んで背を向けてしまった。 自分の血を分けた娘がの淵を彷徨っていたというのに、この男のには何のさざ波もっていない。が子の命よりも、自分の眠と体裁の方が遥かになのだ。