"「ただいま」と笑う夫を家族全員で無視した" 第3話
「子さんの丁寧な説と資料作りには、この数ヶ、本当に助けられましたよ。役所の方があれだけ迅速にいてくれなかったら、この事業は頓挫していました」
「いえ、そんな……! 久史さんの柔で素い対応があったからこそです。こちらこそ、どれほど助けられたか分かりません」
互いの労をねぎらい、仕事の成果を褒めううちに、会話の緊張はしずつ解けていった。 やがて話題は業務をれ、休の過ごし方や趣といったプライベートな領域へと移っていった。そので、お互いに現独であり、交際している特定の相がいないという事実がらかになった。
「子さんも久史さんも、お互いに素敵な会いがあるといいですね」 同僚のやかし半分の言に、久史は苦笑いを浮かべた。
「そうですね。でも、平は終まで残業ばかりで、こんな活をしているとなかなか会いなんてないですけどね」
「私もです。休はで溜まった事をするだけで終わってしまって……」
のない雑談を交わし、久史が向けてくれる優しい差しに包まれながら、私はいつもよりペースをめてお酒をに運んでいた。 しかし、元々アルコールにい体質ではなかった私は、宴会がおきを迎える頃には、すっかり元がおぼつかないほど酔してしまっていたのだ。
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のにると、夜が照った頬を撫でたが、界がぐにゃりと歪んだ。 「おっと……丈夫ですか?」 よろめいた私のの腕を、すっと温かいが支えてくれた。見げると、そこには配そうに眉を寄せる久史の顔があった。
「すみません……し、調子に乗ってみすぎてしまいました……」
恥ずかしさのあまり顔からがそうになり、私はペコペコとをげながらで駅へ向かおうとした。 だが、久史は私のをさず、柔らかい力加減で自分の体の方へと引き寄せた。
「放っておけませんよ。それに、僕のマンションも子さんの実と同じ方角ですから。自宅のまで送らせてください」
夜の宅を、久史は私の歩幅にわせてゆっくりと歩いてくれた。 私の肩を抱くようにして支え続けてくれたそのの温もりと、隣から漂ってくる清潔な鹸のりに、私はこれまでじたことのないような絶対なを覚えていた。
自宅の玄関先に辿り着き、私が「本当にありがとうございました」と々とをげた、そのだった。 久史が私の目を真っ直ぐに見つめ、し緊張した面持ちでをいた。
「……子さん。もし嫌じゃなければ、僕とお付きいしてもらえませんか?」
夜ので唐突に告げられた告に、私の酔いは瞬にして吹きんだ。
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驚きで目を見く私に対し、久史は真摯な瞳を逸らさなかった。仕事で、誠実で、った私を優しく守ってくれたこのとなら、きっと温かく頼もしい関係が築けるに違いない――そう確信した私は、迷うことなく「んで」と頷いたのだった。
それから始まった恋同士の々は、のように幸福だった。 休にでかける際、スーツを脱いだ久史が見せる無邪気な笑顔は、職のエリート然とした姿とは対照で、どこか子供のようで底おしくえた。
交際、久史はよく将来の「理の庭像」についてっぽく語っていた。 「僕の父親はね、さな町だけど自分で会社を経営していてね。昔から本当に厳格で、箸のげげから言葉遣いまで厳しく育てられたんだ。子供の頃は反発もしたけれど、社会にてみれば、その厳しさのおかげで恥ずかしいいをせずに済んだと謝しているよ。だから、僕に子供がまれたら、父親と同じように礼儀正しく、厳しく育てげたいんだ」
父親を尊敬し、自らも凛とした父親になりたいと語る久史の横顔を見つめながら、私はこのとの未来を、結婚という形而の幸福を、自然と具体にい描くようになっていた。
交際が始まってが経った、あるののこと。 で映画館へき、温まるヒューマンドラマを観たの帰り、並の灯ので久史が突然ち止まった。
彼はまで真っ赤に染めげ、ポケットからさな指輪の箱を取りすと、震える声で私を見つめた。