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"「ただいま」と笑う夫を家族全員で無視した" 第2話

その徹底した拒絶に、久史の顔面が屈辱と激で真っ赤に沸騰した。彼は拳を握りしめ、青筋を浮かべて鳴り散らした。

「ご主様を無するとは、した度胸だな! ……おがそのつもりなら、婚だ!!」

久史はりをわにし、威嚇するように声で鳴りつけた。 男尊女卑の塊のようなその台。自分が「の主」であり、その言葉つで妻が恐れ慄き、平伏するとでも信じ込んでいるかのようだった。 しかし、その号すらも、私たちにとっては虚空をすり抜けるノイズに過ぎなかった。 誰も顔をげず、誰もを傾けず、ただ静かに箸をかし、温かい事を楽しむことだけに識を向けていた。

「未優、今度の休みは、緒におかけしようか?」

私が笑顔で未優の皿に柔らかい参を乗せてやると、未優は目を輝かせて元気に頷いた。

「うん! ばあばたちも、緒にこう!」

無邪気な子供の声が、温かくリビングを満たしていく。 自分を完全に界のへと追いやり、何事もなかったかのように穏やかな団欒を紡ぎ続ける私たちの姿を、久史はただただ、悔しさと信じられないものを見るようなめしい差しで見つめ尽くすことしかできなかった。

なぜ、私たちがここまで徹にこの男を切り捨てることができたのか。 その理由は、彼と会った頃の記憶、そして彼が積みねてきた底れぬ裏切りの歴史のにあった。

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計の針を、今から数へと巻き戻す。 当の私は歳。学を卒業してから元の役所に採用され、戸籍や域振興に関わる部署で公務員として勤務していた。真面目だけが取り柄のような平穏な毎を送っていた私のに現れたのが、の久史だった。

久史は、誰もが名を企業のエリート社員だった。 役所が主導する官民連携の域活性化事業において、民側の企画担当チーフとして派遣されてきたのが彼だったのだ。

会議で初めて名刺を交わしたの久史の姿は、今でも鮮すことができる。 体にぴったりとった質なスーツを着こなし、背筋を伸ばして淀みなくプレゼンテーションをめる姿からは、いかにも「仕事ができる男」特の洗練された覇気が満ち溢れていた。切れの涼しげな目元とった筋、清潔のあるなりも相まって、どちらかといえばしい性格だった私は、彼に対してに打たれたような目惚れをしてしまったのである。

容姿や肩きだけではなかった。 事業をめる過程で、役所側の直したルールや理尽な民からの望に直面した際も、久史は嫌な顔つ見せず、常に仕事で真面目な態度を崩さなかった。こちらの無理なスケジュールの変更や無茶なお願いに対しても、「公務員側のもよく分かりますから、任せてください」

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く応じてくれ、迅速に解決策を提示してくれたのだ。 頼もしく、で、誠実。そんな彼の完璧な仕事ぶりに触れるたび、私の胸の奥の好は加速度に膨らんでいった。

事業がむにつれ、定例の打ちわせなどで顔をわせる会は頻繁にあった。 しかし、自分に自信がなく、奥だった私は、業務連絡以の言葉をかけることすら満にできなかった。 (私なんかが個な好を伝えたら、仕事の邪魔になってしまうかもしれない) そう自分に言い聞かせ、秘めたいを誰にも打ちけることなく、ただ記の片隅にしまい込んでいたのだった。

そんな関係性に転が訪れたのは、半に及ぶ事業の第フェーズが無事に完したのことだった。 プロジェクトの成功を祝し、官民双方の推メンバー数名で、駅の居酒で打ちげ兼親睦会をくことになったのだ。 普段の業務には私な会話などほとんどできなかった久史と同じ席で事ができる。そうった、私は胸が鳴り、鏡ので何度も装を確認するほどがっていた。

運良く、座敷の席で私は久史の斜め向かいに座ることができた。 ビールグラスがぶつかりう乾杯の音の、久史がふと私に笑顔を向けてくれた。

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