"妻の葬儀で老犬が暴いた秘密" 第5話
「だから違えるわけないって言ってるだろ」
健はもう度へを伸ばした。隣の板までそうとする。
「やめた方がいいんじゃない? もしお義兄さんが起きたら」
「寝てるよ。元通りにすれば分からない」
私はその言葉を聞いてからちがった。
すぐには襖をけなかった。りに任せてびせば、相の言葉を最まで聞けない。
健が板を戻し、真由美が祭壇の位置を直そうとしたところで、私は襖を静かにけた。
が同に振り返る。
健のは板のに置かれたままだった。
「何をしているんだ?」
私は声を荒らげなかった。
「掃除だよ。に埃が入っているとってさ」
答えがすぎた。
「私は、そこをけてくれとは度も言っていない」
健のが止まった。
真由美が割って入る。
「健は昔からこのをっていますから。掃除する所も分かっているんです」
「幸子の弟なら、祭壇の真にある板までっているのか」
真由美は答えなかった。
「何だよ、義兄さん。そんな怖い顔をするなよ」
「今はもういい。片づけは私がする。帰ってくれ」
健の表から笑みが消えた。真由美が夫の袖を引き、は無言で玄関へ向かった。
の音がざかるまで待ち、私は太郎の部をけた。老犬はゆっくりてきて、私のへ先を押しつけた。
広告
私はすぐに直へ話した。
「確認できた。は祭壇をかし、何も教えていない板をけた」
『何か言いましたか』
「健は、“ここに入れた”と言った。真由美は、“元通りにすれば分からない”と言っている」
夕方、警察が記録を確認した。
設置された器には、が直線に板へ向かう様子が残っていた。健が何度もを探し、真由美が周囲を見張る姿も映っている。
それでも、直は慎だった。
「これだけで奥様のへ関与したと決まるわけではありません。ただし、隠し所をっていた理由は確認する必があります」
「分かっている」
警察から次の方法が提案された。
回収した瓶と類の写真だけをへ示す。ただし、どこから見つかったかはこちらから言わない。がっている報を、自分たちの言葉で話すか確認する。
翌朝、私は健へ話した。
「昨の片づけについて、確認したいことがある」
話の向こうでい沈黙があった。
『昼にく。真由美も緒でいいだろ』
「待っている」
話を切り、私は幸子の遺を見た。
今度は、しみに沈んだ夫としてを迎えるのではない。
妻が最まで言えなかったことを、見届けるとして待つのだ。
午11過ぎ、健夫婦がやって来た。
と違い、健はぶらだった。真由美も玄関へ入るなり、私の顔を探るように見つめてきた。
広告
「確認って何ですか?」
「座ってくれ」
居の座卓を挟み、と向きう。
私は警察から渡された枚目の写真を座卓へ置いた。
青の瓶。
底の黒い汚れまで写っている。
「これに見覚えはあるか」
健の目が写真へ落ちた。その瞬、の頬がわずかに引きつった。
「姉ちゃんの瓶だろ」
「そうだ」
私はそれ以説しなかった。
健は写真から目をさず、真由美は膝ので両を固く組んでいる。
やがて健がをいた。
「これ、からしたのか?」
部が静まり返った。
私は健の顔を見た。
「からしたとは、言も言っていない」
健の唇がいたまま止まった。
「昨、を掃除したから、そうっただけでしょう」
真由美が慌ててを挟んだ。
健もすぐに頷く。
「そうだよ。昨見たから、そこにあったのかとったんだ」
「昨、おはに何もなかったと言った」
健は黙った。
「何も見ていないのに、なぜこの瓶がそこからたとった?」
真由美が私を睨む。
「お義兄さん、私たちを疑っているんですか」
「っていることを確認しているだけだ」
私は枚目の写真を置いた。
幸子の署名がある、産持分譲渡だった。
真由美が息をむ。
健は題名を見て、眉を寄せた。
「姉ちゃんがいたやつだろ」
「見たことがあるのか?」
「いや、名があるから分かるだろ」
「内容をらないのに、幸子がいたと言い切ったな」
その、真由美が首を横へ振った。