"帰国したら、夫に双子がいた" 第2話
「今回だけ助けてほしい。これが成功すれば会社は段へける」
そう言ったのは修平だった。
私は1で7都を往復し、3回の資調達と現物流会社との共同契約をまとめた。夫婦の将来のためでもあり、修平が取締役を務める会社の未来のためでもあると信じていたから、寂しさも疲れもみ込んできた。それを今、修平は「夫婦の距がれた」と言い換えようとしていた。
私はハンドバッグからいファイルを取りした。それはので最終確認した欧州プロジェクトの引き継ぎ資料だった。
「これ、欲しがってたでしょう」
修平は戸惑いながら受け取った。「仕事の話をしているじゃないだろ」と言ったが、私は首を振った。
「私にとっては事なことよ。公私を混同したくないから、仕事は仕事として引き継ぐ。でも夫婦のことは別に理する」
奈の表がわずかに変わった。私が鳴らず、泣かず、修平へ縋りつこうともしないことの方が、彼女にとっては気なのだろう。私はその初めて、奈が恐れているものが私のりではないことに気づいた。
私が静になることを、彼女は恐れている。
に乗った直、奈からメッセージが届いた。
〈千里、本当にごめんなさい。でも双子には父親が必なの。私もずっと苦しかった。
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いつか分かってくれるとう〉
続いて、エコー写真らしい画像が送られてきた。私は返信せず、メッセージと画像を保した。
その、画像のにある付が目に入った。
奈が「修平との関係が始まった」と説した期から逆算すると、どう考えても半ほどい。
私は写真を拡し、しばらく数字を見つめた。
胸のに残っていた最の痛みが、そこで静かに別のへ変わった。
しむに、確かめなければならないことがある。
そうった。
私は夫婦で暮らしていたへ帰らず、都内のホテルを取った。のフライトで体は疲れていたが、シャワーを浴びて着替えると、ベッドへ横になる気にはなれなかった。ノートパソコンをき、赴任に自分が扱ってきた仕事と銭の記録をつずつ確認した。
瀬産業は修平の祖父が創業した会社だが、私は単なる「社族の嫁」として働いていたわけではない。結婚から資系物流会社で国際契約に携わり、結婚に瀬産業から正式に招聘されて事業発部へ入った。欧州プロジェクトについても私自が責任者として契約へ署名しており、現投資との窓は最まで私の名になっていた。
これまで私は、それを夫婦のでわざわざ主張しようとはわなかった。
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修平が社内で評価されれば、それは庭にとっても良いことだと考えていたからだ。けれど私が妻でなくなるなら、私が個な信用と資格で負っていた責任まで、夫婦だからという理由で無条件に引き渡す必はない。
夜1を回った頃から、私はメール、契約、張経費、替、個保証に関する資料を別々のフォルダへ理した。修平が会社の仕事として処理しているとっていた支にも、私名義のカードからて替えたものがいくつも含まれていた。さらに計用座から、私のらない額な振込が何度もわれていることにも気づいた。
送先のつに「カワハラハルナ」という名があった。
1回や2回ではなかった。30万円、50万円、80万円と額はばらばらだったが、半ほどから急に回数が増えている。私は過のメッセージを検索し、その部について自分自が事をっていたことをいした。
奈の母親が術を受けた、私は30万円を貸した。奈がさなアトリエを始めたいと言ったには、融資審査のために取引先を紹介し、保証にもなった。彼女が「では活が」と泣いたには、マンションのの部まで援助した。
奈はそのたびに言っていた。
「千里にはかかっても恩を返せない」
私は画面に並ぶ数字を眺めながら、初めて理解した。
私は奈を親友だとい、困ったに支えることを友だと考えてきた。しかし彼女にとって私は、困ったに使えるだったのかもしれない。