"27年後、娘は父の葬儀に帰ってきた" 第5話
《父子関係》
検査を受けたのは正と美穂。付は、美穂が失踪する2かだった。
報告の横には、正のきのメモがあった。
《の子どもを育て続ける義理はない》
佐子は、夫以の男性と関係を持ったことは度もなかった。美穂を妊娠した期も、正の子どもであることに疑いはない。
それでも報告には、父子関係がないと記されていた。
「本当の父親は誰なの?」
美穂の声には、りよりも疲れがにじんでいた。母親に捨てられたという話が嘘だと分かった直に、今度は父親まで違う能性を突きつけられたのである。
「正さん以にはいない」
「でも、検査では違うって」
「この報告の方がおかしいのよ」
検査をったとされるのは、千葉県内にあった葉医科研究所だった。研究所は20に閉鎖されていたが、当の責任者・野崎医師が静岡県で暮らしていることが分かった。
野崎は最初、古い検査については記憶がないと答えた。しかし理恵の写真を見せると、しばらく黙ったあとで事を話し始めた。
理恵は研究所へ直接来て、美穂と正の血液だという2本の採取管を持ち込んだ。親子関係を調べたいが、族にはられたくないと説した。
当の検査は現ほど厳格な本確認を求められず、私な依頼として受け付けられた。
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結果は、父子関係を否定するものだった。
「では、報告自体は偽物ではないんですね」
「検査結果は、持ち込まれた試料については正しい。ただし、その血液が本当に正さんのものだったかは確認していません」
理恵は設を辞める、正の健康診断に同していた。同じ期、会社のくにある診療所では、検査の血液試料が数保されていた。
元護師の証言によれば、理恵は診療所の職員と親しく、類を届けると言って検査へ入りしていた。
理恵が正とは別の血液を持ちし、父子関係がないという結果を作った能性がかった。
佐子と美穂は、改めて正の保資料を使ったDNA鑑定を依頼した。葬儀も病院に残っていた検体と、美穂の腔内細胞を比較した。
結果がるまでの2週、2はほとんど連絡を取らなかった。
美穂は群馬へ戻り、理恵と暮らしていたの理を続けた。佐子も千葉の自宅で、娘が幼い頃の写真を1枚ずつ見直した。
写真のの正は、美穂を肩し、辺でをつなぎ、入学式では嬉しそうに笑っていた。なくともある期まで、娘をがっていたように見えた。
検査報告を信じたことで、そのが憎しみに変わったのだろうか。だとしても、子どもを別の女性へ渡すという為を説できるものではなかった。
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鑑定結果は、正と美穂の父子関係をく肯定した。
美穂は、正の実の娘だった。
理恵は偽の血液を使い、正へ美穂がの子どもだとわせた。そのうえで、佐子が婚関係を隠していると吹き込み、美穂を放すよう仕向けた。
「理恵さんは、私を欲しがっていたんじゃない」
美穂は鑑定結果を見ながら呟いた。
「あなたから奪いたかったんだとう」
理恵は佐子の庭、正の妻という、子どものいる活を欲しがっていた。しかし正が婚しないと分かり、その代わりに娘だけを奪った。
美穂が帰宅を求めるたび、理恵がり、部へ閉じ込めた理由も見えてきた。彼女が望んでいたのは美穂自ではなく、「佐子から選ばれた娘を奪った」という事実だった。
それでも正が被害者になるわけではない。彼は妻へ事実を確認せず、10歳の娘を復讐の具として差しした。
さらにきな疑問が残った。
正は27、度も再検査をしなかったのか。
会社のロッカーを再び調べると、最初の報告とは別に、2000の付が入った封筒が見つかった。美穂の失踪から5、正は自分で親子鑑定を依頼していた。
結果は、今回と同じだった。
父子関係はする。
正は、美穂が実の娘だとっていた。
それでも迎えにかなかった。
封筒の裏には、正の字でい言葉が残されていた。
《今さら戻せない。失踪した娘でいてもらう方が価値がある》