"消えた母と2800万円" 第4話
佳代が抱えていたの箱には、現ではなく正融資の原始伝票が入っていた。佳代はそれを部の監査担当者へ渡そうとしていた。
「母は盗んだではなかったんですね」
「違います。気づいたです」
奈緒は23、誰にも言えなかった息をようやく吐いたような気がした。だが田は、堵する彼女を見ながら、さらにい声で続けた。
「ただ、宮本さんが資料を持ちすことを、沢支へらせたがいました」
「誰ですか?」
「あなたのお父さんです」
田によれば、俊は佳代が失踪する2に支へ話していた。
その夜、奈緒は父の団を訪ねた。原で見つかった靴の写真をテーブルへ置き、田から聞いた話を伝えた。
俊はい沈黙の末、写真に指を置いた。
「この靴を原に置いたのは、俺だ」
俊は否定も言い訳もしなかった。窓のでは夕方からり始めたが、古い団のすりを細かく叩いていた。
「どうして?」
奈緒が尋ねると、俊は台所へち、蔵庫からをした。グラスを持つが震え、半分ほどへこぼれた。
1998当、俊の運送会社は経営難に陥っていた。取引先の倒産によって売掛を回収できず、からもたな融資を断られていた。
その、仕事と資を提供したのが片瀬建設だった。社の片瀬宗は俊の会社へ事資材の運搬を任せ、代わりにい利息でを貸した。
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借は1で1800万円まで膨らんだ。俊が返済できなくなると、片瀬は佳代の勤務先に関する報を求め始めた。
休眠座を誰が管理しているか。資料にはどんな類があるか。佳代が支の正に気づいていないか。
「お母さんが調べていることを、父さんは片瀬に話したの?」
「あいつらは、おの学もっていた。何もしなければ、おに事故が起きるかもしれないと言われた」
「だからお母さんを売ったの?」
「おを守るためだった」
奈緒は、その言葉を聞いた瞬にちがった。
「私を理由にしないで」
俊はを閉じた。
「お母さんが危険だと分かっていて、支にらせたんでしょう。それを私を守るためだったと言わないで」
佳代は失踪当の午6頃、度自宅へ戻っていた。奈緒は友宅におり、には俊しかいなかった。
佳代は制姿のまま玄関へ入り、娘の赤い包に原始伝票を詰めた。信用庫で調べていたこと、誰かにつけられていることを夫へ話し、警察へ連絡してほしいと頼んだ。
「私は監査部のに会ってくる。もし帰らなかったら、この包を渡して」
佳代はそう言い残し、再びをた。
俊は警察へ連絡しなかった。佳代がてからすぐ片瀬へ話し、資料の隠し所を教えた。
片瀬の指示を受けた男たちが支の裏で佳代を待ち、の箱ごとへ乗せた。
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俊は翌朝、男からその事実を聞かされた。
「お母さんは、そのまだきていたの?」
「分からなかった。俺は何度も聞いたが、片瀬は配するなとしか言わなかった」
失踪翌の午4過ぎ、佳代から自宅へ話があった。くで型がる音が聞こえ、佳代は息を切らしていた。
《奈緒の包を見て。そこに全部ある》
それだけ言うと通話は切れた。
俊は赤い包を押し入れからした。しかしを見るに、片瀬から再び連絡があった。
資料を警察へ渡せば借の保証として奈緒の祖父母まで巻き込み、俊が正に協力したことも公表すると脅された。
俊は包ごと伝票を焼いた。
「どこで?」
「会社の焼却炉だ」
奈緒は、学の卒業式まで使うはずだった赤い包が突然なくなったのことをいした。父は母がと緒に持っていったのだと説していた。
そのの夜、俊は片瀬の部から佳代の靴と囲巾を受け取った。川へを投げたように見せるため、原へ置くよう命じられた。
「俺が発見者になれば、警察も自然に信じると言われた」
「お母さんを捜す所まで、あなたが違わせたのね」
俊は顔を伏せた。
原は夜からがっていた。ところが発見の写真を見ると、佳代の靴底には付いておらず、赤い囲巾もほとんど濡れていない。
午に置かれ、すぐ発見されたからだった。