"姑が剥がした私の名前" 第1話
「嫁が台所で作った程度の物に、1個380円も取るの?」
義母の富美子は、私ののショーケースをのぞき込み、わざと客に聞こえる声で笑った。私は36歳で、製菓専学を卒業、ホテルと菓子で14働いた。2に営業許を取ったさな菓子《灯菓》をき、週4、予約をにプリンや焼き菓子を作っている。
「材料だけなら百円もしないでしょう。族なら、町内の敬老会くらい無料で伝うものよ」
富美子が欲しがったのは96個のプリンだった。4の曜、域交流センターでかれる敬老会へすという。私は材料費、容器代、保箱、作業を計算し、団体注文の価格として1個320円を提示した。
「無料では作れません。注文なら、今に数量と受け渡しを確定してください」
「嫁が姑からを取るなんて、聞いたことがないわ」
富美子はそう言いながら注文を持ち帰った。夫の直は夜になって、「母さんも域で顔があるんだ。材料代だけにできないか」と頼んだ。
「材料代だけなら、私の2分の仕事がなくなる。の予約も断ることになる」
「計は俺の料で回っているだろ。の利益はまだしたことないじゃないか」
直の収が計のなのは事実だった。しかしの改装費350万円のうち200万円は、結婚からの私の貯で払った。残りは制度融資で借り、毎自分の売から返している。
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夫が無償で使わせているとっているも、私名義で借りた元クリーニングだった。
「利益がないからこそ、無料の仕事はできないの」
直はため息をつき、「商売を始めてからたくなった」と言った。その言葉は、富美子がよく使うものだった。結婚当初、私は盆と正の料理をで作り、義父の法事には焼き菓子を百袋用した。それを断るようになったのは、商売を始めてたくなったからではない。仕事と親戚への奉仕を、同じ台所仕事として扱われたくなかったからだ。
翌、富美子から注文が届いた。96個、受け渡しは曜午8、単価320円。支払いは町内会の会計から振り込むとかれていた。私は正式注文として受け、アレルギー表示と消費期限を印刷した。
曜の夜、カラメルを流し、卵液を温で焼きげ、急速却した。完成した96個をの蔵庫へ収め、温度記録を確認して午10に施錠した。の鍵は私と、緊急用に直が1本持っている。
曜午6半、へ入ると蔵庫が空だった。
には保箱を引きずった跡があり、作業台のに私が印刷したラベルの剥だけが残っていた。富美子へ話すると、るい声で「もう運んだから丈夫よ」と答えた。
「受け渡しは8です。どうやって入りました?」
「直から鍵を借りたの。
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朝は忙しいでしょう。嫁を助けてあげたのよ」
胸の奥がえた。私は保方法を尋ねた。富美子は、町内会役員の軽自へ積み、交流センターの調理に置いたと言う。しかしセンターの蔵庫は、昨故障して型の庭用に替わっており、96個は入らないはずだった。
「すぐ確認してください。10度以で保管できないなら、配らないでください」
「なのにげさね。今は私が責任者です」
話は切れた。私は直を起こし、鍵を渡した理由を尋ねた。
「母さんが受け取りをめたいって。完成品を運ぶだけなら問題ないだろ」
「誰が保管温度を確認するの?」
直は答えず、布団から起きがった。私たちは交流センターへ向かった。午715分、駐には富美子のがなく、調理にもプリンはなかった。
受付の役員が言った。「瀬さんなら、ラベルを貼り替えるからご自宅へ持ち帰りましたよ。せっかく会が作ったのに、お嫁さんの名ではおかしいって」
私はすぐ富美子へ話した。つながらなかった。96個のプリンは、どこで、何度の状態に置かれているのか分からなくなった。
富美子のへ着いたのは735分だった。玄関脇に、蓋のいた発泡スチロール箱が4つ並んでいた。保剤は入っていない。プリンは居の座卓に並べられ、富美子と町内会の女性2が、私のラベルを剥がして丸いシールを貼っていた。
《会・瀬富美子 謝を込めた作りプリン》