"3人の息子は、夫の隠し子だった" 第3話
「もちろん。全部、の分よ」
娘は卵焼きをすぐにはべず、箸で何度も触れた。兄たちに取られないことを確かめているのだと分かり、私は胸が締めつけられた。やがてべると、はさく笑った。その夜の弁当はめていたけれど、私には結婚してから番温かな事だった。
総郎や静子がを粗末に扱っていることには、ずっと気づいていた。それでも私は、もっと事を完璧にすれば認めてもらえる、3の息子を派に育てればにも居所ができると信じようとした。族を壊さないためという言葉で、自分の臆病さを包んでいたのだ。
その夜、私は娘の寝顔を見ながら、古い画材箱をいた。結婚に使っていた鉛、くなった絵、恩師から贈られた練り消し。底には学代のスケッチブックが残っていた。
ページをめくると、5の私が描いた々がこちらを見返した。で魚を選ぶ女性、駅で眠る会社員、宿りする親子。線は未熟だったが、そこには描くことをから楽しんでいた私がいた。
翌朝から、私は活をて直し始めた。結婚の預は、静子に管理されるに別座へ移していた。その残はくなかったが、賃を半払う程度には残っている。学代の友から紹介された広告会社の仕事も、3かから総郎に隠れてしずつ受けていた。
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最初はのメニューに載せるさな挿絵だった。報酬は8千円。それでも振り込み通を見たとき、私は通帳を胸に抱いて泣いた。誰かの妻でも、斎藤の嫁でもなく、藤原綾音というが自分の力で得たおだったからだ。
仕事を再するきっかけをくれたのは、学代の友、奈緒だった。半、偶然再会した彼女は、私が総郎の許を気にしながら話す様子を見て、「今の綾音、息をするたびに誰かへ謝っているみたい」と言った。その言葉が胸に刺さり、私は敷の物置から画材箱を探しした。
最初の線は震えていた。うように円も描けず、自分にはもう才能がないと何度も鉛を置いた。それでも夜、族が眠ったあとに30分だけ描いた。奈緒は完成するたび褒めるのではなく、「ここは昔よりいい」「この表は作りものに見える」と正直に見をくれた。私はしずつ、の評価におびえず修正する覚を取り戻した。
だけは最初から私の絵をんだ。物置で描いている私を見つけると、誰にも言わず隣に座り、余ったへを塗った。あの静かなが、私たち親子だけの最初の秘密だった。
を保育園へ送ったあと、私は折り畳み机に向かった。午はイラストを仕げ、午は弁護士へ提する資料を理した。
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親子鑑定、総郎と由のメッセージ、敷内でが受けた扱いを記録した記、病院の受診記録。の腕に残ったあざの写真も、撮が分かる形で保してあった。
担当になった田弁護士は、40代の落ち着いた女性だった。資料を通り確認すると、鏡をして静かに息を吐いた。
「婚届はまだ提しないでください。ご主は、あなたが真実をったと分かれば、条件を変えてくる能性があります」
「でも、もう署名はされています」
「署名済みでも、提するに受理申をされれば止められます。それにさんの親権、財産分与、婚姻の貞、精神虐待を緒に理した方がいい。急ぐほど相のうつぼです」
私はうなずき、鞄から記録媒体を取りした。総郎のパソコンから複製したものではない。族共のプリンターに残っていた送信履歴と、保された類を私自がまとめたものだった。
「これも見ていただけますか。3の届に関する類と、毎同じ医療法へ支払われているおです」
田弁護士の表が変わった。類には、由が産した事実を伏せるため、方の民施設と複数の関係者へが流れた形跡があった。さらに斎藤の戸籍、3は私が産んだ子として扱われていたが、私には産の記憶どころか、その期に妊娠していた事実もない。
私は結婚直、義母に勧められるまま養子縁組関係の委任状だと説された類へ何度も署名していた。