"裏口に回された仕立て屋" 第9話
採択はされなかったが、申請資格を永久に失ったわけではなかった。
帰宅、理奈は拓也へ「お義母さんが邪魔したせいだ」と度こぼした。拓也は以のように同せず、自分たちが類を作ったからだと答えた。は激しく争ったが、その責任を佐子へ処理させる話はしなかった。
理奈が本当に変わったか、佐子には分からない。変化は度の試作品や申請では証できない。ただ、佐子のらないところで決め、最に承認だけ求めるやり方が止まっているは、必な話だけできた。
拓也は分割を払い終えるまでかかかった。最の、振込と緒にいメールを送ってきた。
《百を、やっと像できるようになった》
理奈が装を作る、拓也は事と美の送迎を担当した。妻が着に何もかけ、縫い直す姿を見て、着という数を初めて現実として理解したという。
佐子は《入を確認しました》とだけ返した。息子の成を褒め、すぐ事へ招く気にはならなかった。
そのの、拓也の会社で部署異があり、収入が万円減った。以なら母へ補填を頼んだかもしれないが、計を見直し、を放し、休のを減らした。
美のダンスを辞めさせる話もた。佐子は謝をそうとしたが、美本が「週回を回にして続ける」
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と選んだ。族はい征へかず、域発表会をにした。
を美談にはできない。それでも、祖母の財布を最初の解決策にしないことは変化だった。
拓也はある、佐子の作業を訪ね、署名画像を作ったのことをもう度謝った。
「理奈に頼まれたからじゃない。俺がく申請を通したかった。母さんならっても、最は許すとってた」
「今も許してもらうために来たの?」
「違う。許されなくても、自分がしたと言わないまま終われないとった」
佐子は謝罪を聞いたが、印鑑や類を預ける関係には戻らないと伝えた。緊急連絡先も姉を第順位のままにした。
拓也は寂しそうに頷いた。信頼は、謝罪を度受け取れば元の量へ戻る預ではない。さな約束を守った分だけ、しく積むものだった。
《つ針》は目に、件ほどの仕事が定して入るようになった。が活できる企業にはならないが、材料費を先に受け取り、働いた分の報酬を払える。
君が介護でか休んだ、佐子は納期を延ばした。信子の目の治療は刺繍を注した。利益は減っても、誰かの無理を無料で使わなかった。
佐子が取り戻したのは、万円だけではない。できない仕事を断る権利と、できる仕事へ自分で値段をつける権利だった。
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最の入、拓也は族で事をしたいと誘った。佐子は自宅ではなく、駅のを指定した。誰かが料理し、片づけまで背負う会にしたくなかったからだ。
会計、拓也が分を払おうとしたが、佐子は自分の分をした。孝を拒んだのではない。事代を払うことで過の署名問題まで返した気になってほしくなかった。
理奈は会話の途で、翌の補助へ再申請すると話した。今度は自分で縫える着を限にし、注するは見積もりを取る。佐子へ仕事を頼む予定はないと言った。
「それでいいとう」
佐子が答えると、理奈はしそうな顔をした。姑なら伝いを申しるとったのだろう。互いの事業が別々に続く方が、今のには全だった。
拓也は何度も話題をるくしようとしたが、佐子は無理に笑わなかった。事は穏やかに終わり、美が次の曲について話した。族の会話が、謝罪と許しだけで占められなくなったことは救いだった。
帰り際、拓也は「今度、賀状を作るに名を使っていいか先に聞くよ」と冗談めかして言った。佐子は笑わず、「聞いて。使っていいかは、その答える」と返した。
息子は気まずそうに頷いた。軽い冗談で終わらせないことも、再発を防ぐつの方法だった。
その夜、佐子は最の入を材料費の座と自分の報酬へ分けた。万円は分の痛みを消さないが、ゼロと扱われたに、当事者同士で決めた数字がついた。