"その家、私のです" 第7話
通常損耗との区別をつけ、修司が負担すべき分だけを婚解決から差し引くことになった。
絵里は空になった居へ座った。を取り戻せば、音楽が流れ、すぐ幸福になるとっていた。しかし聞こえるのは蔵庫のい音だけだった。
勝ったのに寂しい。そのつは矛盾しなかった。修司を追いしたかったのではなく、自分のから勝に追いされたくなかったのだ。
絵里はすぐみ始めず、必な修繕だけを依頼した。台所は修司が選んだ濃い茶から、るいへ変えた。ただし使える設備まで捨てず、扉と取っだけ交換した。
過を全部壊さなくても、自分のへ戻すことはできた。
修繕、業者からの配管に古い漏れ跡があると言われた。放置すれば数にきな事が必になる。絵里は見積もりを社から取り、最もい会社ではなく、写真と保証内容を示した会社を選んだ。
事費は万円かかった。を取り戻せば即座に資産になれるわけではない。には税も修繕もあり、現とは違う。それでも自分で支を決め、将来の損失を防げることが嬉しかった。
所には、修司がたで絵里を避けるもいた。千鶴子から聞いた話を信じ、「追いした奥さん」と見ているのだろう。逆に事を聞きたがるもいた。
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絵里はどちらにも詳しく話さなかった。会えば挨拶し、町内会費を払い、必な当番をする。評判を取り戻すために私活を公しなくても、暮らしは続けられた。
へ戻った最初の夜、絵里は分の布団を居へ敷いた。寝にはまだ修司の髪料の匂いが残っていたからだ。寂しさを急いで克せず、眠れる所から活を始めた。
翌朝、修司が置いていった古いアルバムを見つけた。婚旅、壁の塗り替え、千鶴子を迎えたの写真が並んでいる。絵里は捨てず、修司へ受取期限をいて送った。
修司は《そっちで処分して》と返した。絵里は勝に捨てればでいまで奪ったと言われる気がして、宅配便で送った。送料は残置物処分費へ加えず、自分で払った。正しさを円単位で相へ請求し続ける活からもれたかった。
数、修司から《写真を見た。あの頃は普通だったな》と届いた。絵里は《そうですね》とだけ返した。懐かしさは復縁の理由にならない。楽しかった過を認めても、現の危険へ戻る必はなかった。
の名義変更を狙った事をった友は、修司を告訴すべきだと言った。しかし未提の申込、実されていない担保設定、夫婦の説をどのように法評価するかは単純ではない。絵里は弁護士と相談し、まず財産保全と婚、渡しを優先した。
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すべてのりをつの処罰へ変えなくてもいい。が戻り、同じことを度とさせない仕組みを作る。その結果を絵里は選んだ。
修司がた翌、気代は分の、費は半分になった。分の活を支えていた頃、自分が浪費しているとい込まされていたが、数字は別の事実を示した。計簿は復讐の証拠ではなく、これからで暮らせるという確認になった。
の渡しが終わったことで、婚条件の話はんだ。修司は会社から懲戒解雇されず、係へ格した。収入は減ったが、活できないほどではない。
会社の損失については、社を含む関係者の責任割を調査だった。修司個が全額を背負う話ではなく、絵里のを売る必もなかった。
「最初から専に相談していれば、こうはならなかった」
最の調で調委員が言うと、修司は「追い詰められていた」と答えた。
絵里は追い詰められていたことを否定しなかった。ただ、追い詰められたが誰かの財産を使ってよいわけではないと伝えた。
内容は現実なものになった。共預の折半、改装費百万円の精算、残置物処分費の控除、互いの分割続き。慰謝料は争点を広げず請求しない代わりに、修司はへの権利を切主張しない。
婚届をしたのは、最初に渡されてからかだった。
区役所の窓をても、空が特別にるく見えることはなかった。