"「母さん、車に乗れないから来なくていい」――家族に捨てられた母と消えた1200万円" 第16話
録音された43分
私が玄関をけると、佐藤弁護士と管理がっていた。佐藤はの様子を確かめ、倒れた湯みとの元にある類を見てから、私の隣へ座った。管理は玄関ので待する。
「さん、初めまして。林子さんの代理、佐藤です。ご本から、今の財産と施設に関する連絡は私を通すよう通したはずです」
は掴んでいた封筒をし、乱れた袖を直した。
「これは族の話だ。弁護士が割り込むことじゃない」
「ご本が依頼しています。それに、桜産が受け取った1200万円と、同社名義で作成された売却委任状は、族だけの問題ではありません」
佐藤は茶ぶ台の裏からレコーダーをした。表示されていた録音は43分18秒。が1200万円を宅取得支援の報酬だと説した声、尚弥が会社へ半だけ回すとっていたという声、恵理が会社の支払に使ったと認めた声が、途切れず残っている。
「録音だけですべてを決めるつもりはありません。振込記録、宅の精算、請求、委任状、メッセージと照します。今の発言は、その経緯を確認するな資料になります」
「騙し討ちじゃないか」
「子さんは、4から署名と実印を求められると事に伝えていました。自分の全と発言を守るための記録です」
佐藤はしい封筒をのへ置いた。
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桜産に対し、1200万円を受け取った法根拠と使途を文で回答し、返還するよう求める通だった。回答期限は14。応じなければ、返還請求と証拠保全の続をめると記されている。
「あれは贈与だ。子さんが自分ので会社へ入れた」
が説を変えると、佐藤は請求を指した。
「先ほどは業務報酬とおっしゃいました。贈与なら、なぜ1200万円の請求を発したのですか。業務報酬なら、契約と業務内容を示してください」
の頬が引きつった。恵理は父親を見たが、今度は助ける言葉がてこない。
佐藤は次に、田のマンションについて本の売却がないこと、偽の署名がある委任状を使用しないこと、施設や役所へ事実と異なる説をしないことを改めて告げた。
「買主との話は、本で止してください。これ以、子さんの名義で続をめれば、保済みの資料を追加して警察へ相談します」
私は尚弥へ、田の部の鍵を返すよう求めた。尚弥はポケットので鍵を握ったままかなかったが、佐藤に見つめられると、の鍵を茶ぶ台へ置いた。
「母さん、本当に俺たちを捨てるのか」
「私は正10に、にもにも席がないと言われました。ていく準備をしたのは、あなたたちです」
私は4に帰るよう告げた。恵理は唇を噛み、は濡れた畳を避けるようにち、は通を鞄へ押し込んだ。
玄関をる直、だけが振り返った。
「返すなどない。裁判でも何でもすればいい」
佐藤は静かに鞄から、もう1通の面を取りした。
「そのお返事も定しています。返還請求を保全するため、すでに仮差押えの申を準備しました」
面の対象欄には、株式会社桜産が所する駅の事務所が記載されていた。
のが玄関の敷居で止まった。会社の板が掛かった3階建ての事務所は、彼が30かけて築いた信用そのものだった。私の1200万円を返すはないと言った直、その建物が請求の対象になると初めてったのだ。
「まさか、本気でそこまで……」
「本気です」
私は鍵を握り、今度は度も目をそらさなかった。