"「母さん、車に乗れないから来なくていい」――家族に捨てられた母と消えた1200万円" 第14話
3060万円のみ替え
尚弥はすぐに答えなかった。代わりに恵理が、「入っているから施設まで探したんです」と言った。
私は施設の契約を見た。入居300万円、24万円。京ので5事をさせた、私のマンションを売ったで私をへす。それを族のいやりと呼ぶたちが、目のに座っていた。
「では、これも族のためなのね」
私は別の透ファイルから、京ので撮しておいたタワーマンションの資料を取りした。販売価格7280万円。赤い付箋には《自己資2000万円》《子さんの田物件売却に申込み》と、恵理の字でかれている。
恵理の目がきくいた。
「勝にのものを撮ったんですか」
「私の査定と偽の委任状が緒に入っていた棚です。何に使うつもりだったか確認するために撮りました」
現のは査定額約4900万円に対し、宅ローン残が約4380万円。数料などを引けば、売って残るのは400万円にも届かない。方、居の申込みに必な自己資は約2000万円で、なくとも1600万円以りなかった。
そこで私を施設へ入れ、田のマンションを1860万円で売る。すでに返していない1200万円とわせれば、私から奪う利益は3060万円になる。
資料には、眺望ラウンジ、24対応のフロント、来客用ゲストルームの写真が並んでいた。そのしい暮らしをに入れるため、私には沿いの施設のさな個が割り当てられている。
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恵理の付箋は、私のを2つの物件へ分けた設計図のように見えた。
私は3つの数字を、尚弥にも見えるようへいた。
「1200万円、1860万円、計3060万円。私の老ではなく、あなたたちのみ替えに必だった額でしょう」
「奪うなんて言い方をしないでください」
恵理は資料を引き寄せ、付箋を剥がそうとした。私はそのを止めず、もう1枚の写真をした。同じ付箋を入りで撮した画像だった。
「マンションの売却代から施設費を払うんです。残った分を族が管理するだけでしょう。お義母さんが持っていたって使い切れないじゃないですか」
「私が使い切れるかどうかを、あなたが決めるの?」
は面倒そうに息を吐いた。
「を取れば、財産はどうせ子どもへ渡る。きているうちに効率よく使うだけだ。尚弥君たちが広いへ移れば、孫にも残る。何が満なんです」
私が残したい相も、使いたい期も、彼の計算にはない。私の財産はすでに相続予定のとして、4ので分けられていたのだ。
尚弥は額に汗を浮かべながら、タワーマンションの資料を畳んだ。
「翔太には受験があるし、美咲にも個が必なんだ。母さんが施設へ入れば、俺たちもして活をて直せる。誰かひとりだけが損をする話じゃない」
「私はと1860万円を失います。すでに1200万円も返ってきていません」
「だから、施設で困らないようにするって言ってるだろ!」
尚弥の声が、狭い部の壁にね返った。私は鳴り返さず、彼が静まるのを待った。
「最に1度だけ聞きます。施設の申込みとマンションの売却を撤回し、1200万円の返還続に協力する気はありますか」
恵理が尚弥の腕をくつかんだ。は何も言わず、娘婿の返事を待っている。
尚弥は私ではなく、妻とその両親を見た。そしてい沈黙の、首を横に振った。
「母さんこそ、しは俺たち族のことを考えてくれ」