"「母さん、車に乗れないから来なくていい」――家族に捨てられた母と消えた1200万円" 第8話
捨てられたお玉
恵理のメッセージを保した直、佐藤弁護士は桜産へ追加の通を送った。118に予定されているという契約について、私は売却を依頼しておらず、委任状の署名も否認する。今、私の同席と本確認なしに続をめないよう、確に伝える内容だった。
通を受け取った桜産から返答はなかった。その代わり、尚弥から《母さんは恵理の実を潰すつもりなのか》というメッセージが届いた。
1200万円を失った私への謝罪ではなく、義父の会社への配だった。画面を見ているとりよりも、息子を理解しようとしてきた5が静かに崩れていくのをじた。
夕方、ひとり分の鍋をにかけていると、美咲から初めてメッセージが届いた。
《おばあちゃん、ごめんなさい》
その文のに、写真が1枚添えられていた。写っていたのは、私が正10に用した2つのお玉袋だった。の毛糸にわせて選んだ梅柄の封筒で、翔太と美咲の名が私の字でかれている。
《ママがおばあちゃんの部を片づけて、全部ゴミ袋に入れた。でも、これは私が取っておいた》
写真の端には、黒い袋へ押し込まれた私のと、倒れた夫の写真てが写っていた。涙がそうになったが、私は鍋のをめ、子へ座った。美咲の謝罪を受け入れることと、あのへ戻ることは別の問題だった。
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美咲は昔から、私が作った弁当を空にして帰ると、必ず「おいしかった」と言ってくれた。けれど正10の玄関では、両親と兄の空気に逆らえず黙っていた。13歳の子にと同じ責任を負わせるつもりはない。それでも、あの沈黙で私が傷ついたことまで、なかったことにはできなかった。
机のに置かれた2つの封筒は、額にすれば計1万円にすぎない。けれど私にとっては、利用されていた5のにも、美咲と笑ったまで嘘ではなかったと教えてくれるものだった。だからこそ私は、あの子へのを質に取られて戻ることだけはしないと決めた。
《ありがとう。寒いから体に気をつけてね》
そう返信すると、美咲からすぐにもう1枚の写真が届いた。リビングのテーブルをくから撮ったもので、尚弥と恵理が類を広げ、その向かいに恵理の両親が座っている。4の央には、ケアホームのパンフレットと、私のマンションの査定が置かれていた。
写真には撮刻も残っていた。111、午726分。私を迎えるはずだった施設のが帰った、そのの夜である。計画が失敗しても4は反省するどころか、次の段を相談していたのだ。
《曜に4で、おばあちゃんのところへくって話してる。実印を持って帰るまで帰らないって》
その夜、尚弥から正式な連絡が来た。
《曜の午10、恵理の両親と緒に田へく。これからの母さんの活を話しう。通帳と実印を用しておいてくれ》
彼らは、佐藤からの通が届いてもなお、私と直接会えば言いくるめられるとっているらしい。5、何を言われても笑って従ってきた母親しからないのだから、無理もなかった。
私は鍋からちる湯気を見つめながら、佐藤へ尚弥のメッセージを転送した。もなく話が鳴り、彼はく言った。
「来てもらいましょう。ただし、こちらも準備をします」
私は尚弥への返信欄をき、迷わず文字を打った。
《分かりました。4でいらしてください。お待ちしています》