"「母さん、車に乗れないから来なくていい」――家族に捨てられた母と消えた1200万円" 第7話
偽造された委任状
委任状には、田のマンションの売却続を桜産へ任するとかれていた。売却価格と買主の欄は空のままなのに、所者欄だけには「林子」と署名されている。
見慣れた文字に似せようとしていたが、「」の3本の横線が自然に傾いていた。68き続けてきた自分の名を、見違えるはずがない。
「印鑑が押されていないのは、私が実印を持っていたからですね」
「その能性がいでしょう。権利証も確保できていますから、現状で相が正規の売却続をめるのは困難です。ただし、この委任状を作った経緯と、誰が署名したのかは確認する必があります」
佐藤は断定を避けたが、私は共カレンダーの文面をいしていた。《拒否したら部を探す》。施設の迎えが来る夜、尚弥たちは私が焼肉へついてこないようにし、留守のに部を探すつもりだったのだろう。
司法士が改めて登記事項証を確認すると、田のマンションは今も私の単独所で、抵当権も設定されていなかった。いに印刷された「所者 林子」の文字を見て、私はきく息を吐いた。まだ奪われてはいない。けれど、私があと晩あのに残っていたら、権利証も実印も彼らのに渡っていたかもしれない。
私は委任状、査定、カレンダーの画像を1つのフォルダーにまとめた。
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佐藤は私のに反する売却であることを桜産へ通し、今の連絡と類を保するよう求めた。にも事を届け、私名義の座については窓での本確認を厳格にしてもらった。
さらに私たちは田警察署へき、偽造された能性のある委任状と介護関係の類について相談記録を残した。まだ誰かをそので逮捕できる段階ではない。それでも、担当者は原本を捨てず、今の話やメッセージをすべて保するよう助言してくれた。私は相談受付番号を帳にき、佐藤にも控えを渡した。
続を終えた午、恵理から話がかかってきた。佐藤の助言に従って録音を始し、私はスピーカーにせず、静かにへ当てた。
「お義母さん、どうして部のを巻き込むんですか。族の話でしょう?」
「私の名で施設を申し込み、私のマンションを売ることが、族の話なの?」
瞬、恵理は黙った。すぐに声をくして、「マンションは管理が変だから、代わりに処分してあげるだけです」と言い直した。
「委任状の私の名は、誰がいたの?」
「りません。お義母さんが忘れているだけじゃないですか」
私はそこで反論せず、通話を終えた。恵理は自分からマンションの処分計画を認めたうえ、なお私の記憶の問題にすり替えようとした。
その音声も、付と刻を付けて保した。
10分、今度は文章でメッセージが届いた。
《18に買主と契約する予定だったんです。実印さえ戻せば、まだにいます》
続けて、《売却代は尚弥さんが管理します。お義母さんには施設費として毎渡します》と送られてきた。
118まで、あと6。実印がなければにわないという文は、裏を返せば、本の承諾も必な類も揃っていないことを示していた。私は画面全体が入るように何枚も保し、佐藤へ転送した。
売却代1860万円を、所者である私ではなく尚弥が管理する。私は度もそんなことを頼んでいない。
恵理は私を説得しているつもりで、自分たちが何をしようとしていたのか、文字にして残してくれたのだ。