"7年間介護した私を捨てた夫――愛人を連れて帰宅すると、寝たきりの母も介護ベッドも消えていた" 第4話
母がにした2200万円
3者面談の、はのベッド脇に子を置き、子に座る彼女と同じさまで腰を落とした。
「さん。由美さんから事は伺いました。これからどこで、どのように暮らしたいか、まずご本の希望を聞かせてください」
は窓のを度見た。庭の柿のは葉を落とし、細い枝だけがの空へ伸びている。こので50く暮らしてきたにとって、施設へ移るという言葉は、所を変える以のさを持っていた。
それでも、返事は確だった。
「私は施設へきたいです」
は急かさず、理由、希望する活、医療のを1つずつ確かめた。は自分の言葉で答え、まず空きのあるショートステイを利用し、そのにく暮らせる所を探したいと話した。
は、現利用している訪問介護、通所サービス、福祉用具の状況を資料にき込み、夜に必な介助も確認した。半の麻痺だけでなく、が夜に咳き込むこと、環境が変わると眠れないこと、事は柔らかめを好むことまで、由美は1つずつ伝えた。
単にから運びせば終わる話ではない。7積みねた活を別の所へ全につなぐには、それだけの報と準備がる。由美は膨らんでいく確認項目を見ながら、自分がをられなかった理由のさを初めて目で見た気がした。
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「すぐに入れる所があるとは限りません。介護計画の変更や受け入れ先との調も必です。数週は見てください」
「構いません。そのに準備します」
由美は膝ので両をねた。婚を決めても、を置きりにはできない。全な移が終わるまではに残るつもりだった。
は候補となる事業所へ空き状況を問いわせ、期利用のに必な面談と類を覧にした。由美は薬表、保険証、診察券、主治医の連絡先をまとめ、は「自分で決めた」と健へ伝えるための言葉を考えることになった。
は費用の話へんだ。
「の範囲で収まる施設もありますが、部や介護内容によって自己負担が増えます。預貯の状況も確認しておきましょう」
はさく頷いた。
「夫が残した分と私の貯で、2200万円ほどあるはずです。それを使ってください」
「お義母さん、切なおですよ」
「だから、自分のために使うの。健のために残したおではないわ」
その言い方が妙にく、由美はの横顔を見た。は以から、息子が貯を自分のもののように話すことに気づいていたのかもしれない。
面談の途で玄関がき、予定よりく健が帰ってきた。の姿を見るなり、骨に眉をひそめる。
「何の話ですか」
由美が説しようとすると、が先に答えた。
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「施設へく相談よ」
「またその話か。施設なんていだけだろ。で見られるのに必ない」
「誰が見るの?」
由美の問いに、健は苛った顔を向けた。
「おに決まってるだろ。婚するまでまだここにいるし、母さんを放ってられる性格でもない」
自信に満ちたぶりだった。由美がに残っているのは未練ではなく、移の準備に数週必だからだとは、しも考えていない。
「俺は玲奈と予定がある。細かいことは由美に聞いてください」
そう言い残し、健はの返事も待たずに部をた。
廊からスマートフォンで誰かに話す声が聞こえる。
「丈夫だよ。由美は結局、母さんを見捨てられないから」
は目を閉じた。は何も言わず、類の次の欄へ線を移した。
「さん。確認ですが、通帳とキャッシュカードは、今どなたが管理していますか」
が答えるまでに、数秒かかった。
「健です」
その言で、部の空気が変わった。