"7年間介護した私を捨てた夫――愛人を連れて帰宅すると、寝たきりの母も介護ベッドも消えていた" 第3話
あなたも、私も、このをる
由美はベッドの横にったまま、言葉を失った。
半に麻痺が残る79歳のは、1でつことも着替えることも難しい。しかし認能ははっきりしており、今の会話が何をするのかも理解していた。
「申し訳ありません。私がをたら、お義母さんが困るのに……」
由美がをげると、はい声で遮った。
「婚なさい」
「でも――」
「私を理由に、あなたが残る必はないの」
かせるが、シーツをきつく握りしめていた。
「健は、あなたなら何をしてもれないとっている。私の世話まで押しつけて、自分だけしい暮らしを始めるつもりなのよ。そんなことを許したら、私はぬまであなたを縛る鎖になってしまう」
由美は、7で初めてので泣いた。
をしたの隣で3晩ほとんど眠れなかったも、健に「おは昼に横になれるだろ」と背を向けられたも、涙は見せなかった。けれど、今は堪えられなかった。
は震えるを伸ばし、由美の指先に触れた。
「あなたのをどうきるか、私に決める権利はないわ」
いだった。だが、その温かさは、26そばにいた夫のどんな言葉よりく胸に届いた。
倒れるのは、決して優しい姑ではなかった。噌汁がい、掃除の順番が違う、盆には嫁としてく来るべきだと、由美を何度も困らせた。
広告
それでも病気で体の自由を失ってからは、に頼らなければ杯めない苦しさをり、謝ることが増えた。
とりわけ、健が休の介助から逃げるたび、は自分のせいで由美のを奪っているような顔をした。由美が「族ですから」と笑うと、はいつも目を伏せた。その笑顔がもう限界にいことを、本より先に気づいていたのかもしれない。
「お義母さんは、どうするんですか」
由美が尋ねると、はしばらく井を見つめた。以、度だけ施設の話がた際には、らない所で暮らすのは怖いと拒んでいる。
それでもは、迷いを振り切るように息を吸った。
「施設へくわ」
「本当に?」
「らない所へくことより、あなたが壊れていくのを見るほうが怖い。まずいでもいい。さんに相談してちょうだい」
由美はのを両で包んだ。
「分かりました。私が全なところまで緒にきます」
「いいえ」
はゆっくり首を横に振った。
「あなたが私を連れていくんじゃない。私が自分でくの。その違いだけは、健にも分からせたい」
翌朝、由美は7介護計画を支えてくれたケアマネジャーのへ話をかけた。58歳のは事を最まで聞くと、落ち着いた声で言った。
『まずさんご本のを確認しましょう。
広告
そのうえで、使えるサービスと今の活を緒に考えます』
数、内の喫茶で向かいった由美は、婚を決めたこと、健が婚も介護を続けろと言ったこと、自が施設を希望していることを伝えた。
にして説するうちに、由美は自分が本当にをようとしているのだと実した。コーヒーはすっかりめていたが、カップを持つの震えは止まっていた。健の許を得る相談ではない。と自分、それぞれの活を守るための相談だった。
は帳を閉じ、由美の目をまっすぐ見た。
「久保田さんに話すに、さん、由美さん、私の3で計画を作りましょう。急いでく必はあります。でも、1で決める話でもありません」
由美は頷いた。
この、2の女性がをるための準備が、健のらないところで始まった。