"同じ部署の社員が月30万〜50万円もらう中、私の月給だけは18万円だった" 第1話
18万円の署名欄
「このままの条件で更してください。特別に、もう1雇ってあげます」
契約満の朝912分、事課の佐藤奈津子は、い類を会議机の央へ滑らせた。い蛍灯に照らされた《期労働契約更》の基本欄には、これまでと同じ数字が印字されている。
額18万円。
私は類にも、横に置かれたボールペンにも触れなかった。
同じ発部で働く正社員のは30万円から50万円。社内募集に記載された基盤保守担当の初任でさえ30万円なのに、44歳の私は4、18万円のままだった。肩だけは「技術補助員」だが、最顧客である青葉通信のシステム保守、障害対応、来予定されている型更まで、実務のは私が担っている。
社会保険料などが引かれると、元に残るのは14万円ほどだった。賃6万8000円の古いワンルームで暮らし、技術を1冊買ったは費を削った。対して部署の社内募集には《経験3以・30万円以》とかれている。私には17の経験があっても、その条件は度も適用されなかった。
直属の田浩部は、革張りの子へく座り、の腕計を見た。
「野さん、今で契約が切れるんだ。ほかにく当てがないなら、素直に署名したほうがいい。代わりはいくらでもいるんだから」
「先から2度、更条件を事に提示していただきたいとお願いしました」
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「忙しかったのよ」と佐藤は面倒そうに答えた。「それに、正社員と契約社員で料が違うのは当然でしょう。あなたには転勤も部の管理もないんだから」
私は鞄から1枚の面を取りし、更の隣へ置いた。《待遇差に関する説求》。4の担当業務、障害発の責任範囲、正社員との職務分担を記載し、18万円という条件が何を基準に決められたのか、面での説を求める内容だった。
佐藤の眉に皺が寄った。
「こんなもの、誰に教わったの?」
「自分で確認しました。説を伺ってから判断します」
私が控えにも受領印を求めると、田は机を指で2度叩いた。乾いた音が、窓のない会議へ響く。
「自分のが分かっているのか。今署名しなければ無職だぞ。青葉通信の更に支障がたら、会社は数億円単位の損失を受ける。途で投げした責任を問われてもらないからな」
4の私なら、その言葉だけでペンを握っただろう。担当先へ迷惑をかける恐怖は、料よりい鎖だった。夜に障害通が鳴れば布団から起き、休でもノートパソコンをいた。翌朝、直った画面を確認する顧客の姿を像すれば、理尽にも耐えられた。
会議机の端には、佐藤がみかけた600円のカフェラテが置かれていた。私は今朝も自宅から筒を持ってきた。
そのさな差を惨めだとうより、自分の働いたが誰の評価や料へ変わっているのか、初めて確かめたいとった。
しかし、その責任を利用しているたちは、私が抜ければ困るとりながら、代わりはいくらでもいると言った。
私は佐藤が押した受領印を確かめ、説求の控えをクリアファイルへ戻した。
「午4に、もう度この部へ来なさい。それまでに署名するか、荷物を持ってていくか決めておいて」
佐藤は更を私の側へ押し直した。私はそれを机に残し、静かに席をった。
「分かりました。午4に、私からも正式な回答をお渡しします」
私の鞄には、18万円の契約とはまったく違う、もう1通の類が入っていた。