"「異物が入ってる!」老舗そば屋を潰した“32秒の嘘”" 第7話
消せなかった社内LINE
航が指定したのは、柚庵から2駅れた喫茶だった。
午7、奥の席に座っていた彼は、私たちを見るなりちがった。昨まで首からげていた社員証はなく、目のには眠れていないことが分かる濃いがあった。
「本当に申し訳ありませんでした」
は座るにをげ、テーブルへ会社支の携帯話と型の記録媒体を置いた。
「最初にで画を撮ったのは私です。社から、交渉の記録を残せと言われていました。柚子の種だと分かってからも撮を続けたので、交換を申したところも、黒川がしいそばをべたところも、1分41秒すべて残っています」
「では、32秒に編集したのもあなたですか」
結の問いに、は唇をかみ、首を横に振った。
「元の画を社内の共フォルダへ入れたのは私です。編集と投稿は広報担当がいました。翌朝確認したには、投稿用の32秒版と、23件分のコミ文案が同じフォルダに保されていました」
携帯話の画面には、舗発部のグループLINEが残っていた。黒川が送った最初の指示は、来の午1014分だった。
『は異物だと騒げ。老婆が反論した部分を使えばいい』
次のメッセージには、柚庵の番号と、1800万円という提示額が記されている。森からは、裏の錠と材庫の位置を確認したという報告まで届いていた。
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共フォルダには「コミ対応案」という表もあり、投稿予定数は23件と記されていた。実際にのページへき込まれた数と致する。文章欄には「異物を縁起物と言い張る」「30の老舗でも信用できない」など、結が保したコミと同じ言葉が並んでいた。
ただし、が持ちした資料だけで、誰がどのアカウントから投稿したかまでは分からない。結がそう指摘すると、は、部の宣伝業者へ依頼した発注記録も会社側に残っているはずだと答えた。
私は画面を読みめたが、途で指がかなくなった。黒川がの古さを笑い、柚子の種を見つけたのは偶然ではない。事の鳴り声も、そのの画も、初めから同じ計画の部だった。
「どうして今、これを私たちに?」
はコーヒーカップに触れたまま、顔をげなかった。
「コミまでなら、会社の命令だと言い訳していたかもしれません。でも昨夜、森さんが『属を入れてきた』と報告するのを聞いたんです。このままでは、誰かが本当ににするかもしれない。僕も元の画を渡した点で、無関係ではありません」
「会社を辞めることになるかもしれませんよ」
私が言うと、はしばらく黙り、やがて頷いた。
「分かっています。入社して2、逆らえば次は自分が切られるとっていました。
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でも、昨の夜から何度も考えたんです。黙って料を受け取ることと、が傷つく罠に加わることは同じじゃない、と」
私は彼をすぐ許すとは言わなかった。32秒の画で失った客も、結が受けた傷も、謝罪だけでは戻らない。それでも、逃げずに自分の名で証言するというなら、そのまで否定するつもりはなかった。
彼は原本の保が分かる画面をき、記録媒体に複製したデータの覧を示した。私たちはそので受け取らず、翌朝、弁護士を同席させて正式に提供してもらうことにした。自のを守るためにも、入経緯と原本の所を曖昧にしてはいけない。
ちる、は最の画面を見せた。
そこには、黒川が森たちへ送った1が残っていた。
『を潰して客をゼロにすれば、1億のでも1800万円で売る』