"「異物が入ってる!」老舗そば屋を潰した“32秒の嘘”" 第6話
そばの袋を裂いた
「写っています。午217分、この男が裏から入り、そばの袋へを伸ばすところまで」
結が警察官と保健所の担当者ので、クラウドに保された映像を再した。
翌朝9、柚庵の材庫には、昨夜とは別の緊張が満ちていた。侵入者が源を抜くまでの43秒は、すでに部サーバーへ送られている。男が鞄から袋をし、そばの袋を裂いてへ何かを押し込むきも残っていた。
画面を止すると、男の横顔がはっきり映った。
森健吾。黒川と来した4の部のうち、通側で携帯話を構えていた男だ。黒川の会社の公式ページにも、舗発部の社員として顔写真が掲載されていた。
警察官は映像を確認した、昨夜回収した属片とそばの袋を証拠として持ち帰った。私と結の話も別々に聞き、黒川から渡された契約、非通のメッセージ、投稿された32秒の画について記録を取る。
そので誰かが逮捕されたわけではない。だが、単なる異物混入の相談ではなく、建物への侵入と証拠の捏造を含む事件として調べる、と担当の警察官は言した。
保健所の担当者は、侵入された1袋だけでなく、保管のそば、薬、調理器具、蔵庫、清掃記録まで約2かけて確認した。私は該当する棚の材をすべて廃棄すると申したが、担当者は先に写真と仕入れ番号を残し、警察と報を共してから処分するよう指示した。
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「匿名の申が届いたのは、昨の午312分です」
担当者が記録を確かめながら言った。その刻は、侵入者がへ入る11以だ。つまり、属片が入ったそばの写真を先に用し、保健所の訪問が決まってから、同じ種類の属をそばの袋へ仕込んだことになる。
「写真だけでは、こので撮られたものか判断できません。ただ、今朝ここで似た属が見つかれば、申の信憑性がいように見えたでしょう」
警察官は、写真に映る破片と回収品が似ていることだけを確認し、同の材料かどうかは調べなければ分からないと付け加えた。偶然の異物混入に見せるため、夜に“原因”を置きに来た。その順番が、かえって計画性を示していた。
「なくとも、問題の袋は未封の庫として保管され、料理には使用されていません。現点で、営業止を必とするの問題も確認できません」
その言葉を聞いた瞬、結は厨の壁にをつき、ようやく息を吐いた。私は胸ので固く握っていたをいた。爪の跡が掌に4本、赤く残っていた。
黒川たちは、保健所が属片を見つければを閉められるとっていたのだろう。しかし、材を1袋ずつ管理し、毎の温度と仕入れを記録していた30分の習慣が、今回は私たちを守った。に撮った棚の写真にも、問題の袋が傷のない状態で写っている。
派な切り札ではない。閉に毎繰り返してきた、さな確認の積みねだった。
午1、黒川から話がかかってきた。
「保健所が入ったそうですね。残ですが、これでを続けるのは難しいでしょう。今なら契約条件は変えません」
彼は、夜の来事をまだらないらしい。
「お気遣いありがとうございます。ですが、は売りません」
「がるのも今のうちだ。証拠もないのに、評判は戻らない」
話が切れた、結の携帯話に見らぬ番号からメッセージが届いた。送り主は、契約を運んできた若い社員――航だった。
『昨夜のことをっています。黒川社の指示です』
続いて、もう1通届いた。
『32秒に切られるの画も、社内LINEも、私が持っています』