"午前2時、義母に追いやられた離れ" 第14話
夫婦を続ける3つの条件
自宅へ戻ってから、由と誠司は別々の部で眠っていた。
誠司は毎朝7にをて、格の仕事を終えるとまっすぐ帰宅した。以のように「忙しかった」の言でのことを由へ任せず、事を作り、洗濯物を畳み、警察や弁護士から届いた連絡も自分で理している。
だが、事をすることと、壊れた信頼が戻ることは別だった。
事件から1かの曜、誠司はダイニングテーブルへ1冊のノートを置いた。表には《由に謝るべきこと》と自分の字でかれている。
「母さんの言葉を信じたことより、おがしてくれると分かっていて放置したことの方が悪かった」
誠司はノートをかずに続けた。
「父さんの介護も、会社の類も、おならできるとって任せた。母さんがたくしていると気づいても、俺がに入れば面倒になるとって逃げた。その結果、おは午2に1で命を守らなければならなかった」
由は黙って聞いた。謝罪を待っていたはずなのに、胸がすぐ軽くなることはなかった。れで夫へ連絡しなかった自分をいす。配させたくなかったのではない。どうせ母親を悪く言わないでくれと頼まれるとい、最初から期待することを諦めていたのだ。
「婚したいと言われても受け入れる」
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誠司はそう言って、記入済みの婚届を差しした。由へ決断を押しつけるためではなく、選択権を返すためだった。
由は用をに取り、しばらく夫の署名を見つめた、封筒へ戻した。
「今すぐ結論はしません。ただし、夫婦を続けるなら条件があります」
誠司が背筋を伸ばした。
「1つ目。お義母さんと達也さんからの連絡は、すべて崎先を通すこと。私に仲直りも援助も求めないでください」
「分かった」
「2つ目。族や会社のおをかすは、額に関係なく隠さないこと。『内だから』で確認を省かないこと」
誠司はゆっくりうなずいた。
「3つ目。6か、私が別居や婚を選んでも引き止めないこと。そのに、言葉ではなくで判断させてください」
い沈黙の、誠司は「分かった」と3度目の返事をした。許してほしいとも、もう度信じてほしいとも言わなかった。
その、由は初めて自分の寝の扉を完全には閉めずに眠った。信頼が戻ったわけではない。ただ、条件を言葉にしてもが壊れなかったというさな事実が、閉ざしていたにわずかな隙を作っていた。
3の夜、誠司のスマートフォンに千鶴子から7回続けて着信があった。留守番話には「由さんを説得して」「族なのだから度くらい会いに来なさい」という声が残されている。
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以の誠司なら、由の嫌をうかがいながら「話だけでも聞かないか」と切りしただろう。
だが、その夜は再を途で止め、崎へ音声を転送した。
「母から連絡がありました。条件どおり、以の対応をお願いします」
それから誠司は由へ、着信があった事実だけを伝えた。母親が反省しているとも、会えば分かりえるとも言わない。その姿を見て、由は閉じた封筒の婚届にを伸ばさず、温くなった噌汁をひとんだ。信頼は謝罪のさではなく、こうしたさな選択の積みねでしか戻らないのだとった。
翌朝、崎かられの正式な名義変更が完したという連絡が届いた。
由はしい登記識別報と、の鍵をテーブルへ並べた。
売却査定も依頼していたが、類の端に記された《解体費用》という文字を見た、正のがよみがえった。
――介護する側にも、休む所が必だ。
由は売却査定を閉じ、代わりに改修会社の話番号を押した。