"午前2時、義母に追いやられた離れ" 第10話
15の送
野物流本社へ到着したのは1218分だった。昼休みの社内は静かだったが、経理フロアだけは話とキーボードの音が途切れず、正の訃報から12たった今も空席の社にはいが飾られている。
由がこの建物へ入るのは、正の入院に類を届けて以来だった。受付につ社員は誠司へをげた、見慣れない由と崎の証拠袋をそうに見た。1件の送を止めるために来たことを、まだ誰もらない。
応接会議には、代表代を務める専務のと、経理部の森が待っていた。崎が公正証遺言の謄本を示し、由が25%の株式を受け取るであることを説すると、2の表が変わった。
由は黒い帳をテーブルの央へ置いた。
「正さんが赤線を引いた18件です。通常単価との差額と、実体のない払をわせると3,240万円になります」
森が社内システムで伝票番号を検索する。画面には帳と同じ付、同じ額、同じ見積番号が次々と表示された。
「違いありません。ただ、達也運送は正社の親族会社として登録され、継続契約の枠内なら営業本部の再承認なしで支払える設定になっています」
森の説に、誠司が唇を噛んだ。その契約へ賛成したのは自分だった。
会議の壁には、35の創業に撮された写真が掛けられていた。
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若い正が2台のトラックので笑っている。誠司はその写真を度見げてから、逃げずに森へ向き直った。
「私の確認です。処分も責任も受けます。ただし、今の860万円は止めてください」
「振込予約の取消しには代表代と経理責任者、2名の承認が必です」
は帳と謄本を見比べ、すぐにちがった。
「臨の支払審査をく。正社がここまで記録を残した以、見過ごす理由はない」
13から、見積、配記録、取引座が照された。13便分を請求したに実際にったのは8便。払5件のうち2件は、運送完報告が空欄だった。帳の赤線を追うたび、自然な数字が社内システムから姿を現した。
由は森の隣で画面を確認し、帳の余にある印と照した。正が赤線を引いた順番は額のきさではなく、疑いが確信へ変わった順番だった。のに残った圧から、病で調査を続けた義父の焦りまで伝わってくるようだった。
1435分、達也が会議へ乗り込んできた。
「内の会社を切るのか。父さんだって最は許してくれるはずだった」
「正さんは、許すのではなく止めようとしていました」
由が帳の最終ページをく。《部監査を入れる》という文字を見た達也は、テーブルをたたいた。
「嫁のくせに、うちの経営へをすな」
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由は声を荒らげず、公正証遺言の謄本をその横へ置いた。
「私は25%の株式を託された受遺者です。正さんが残した数字を確認する責任があります」
会議の計が1450分を示した。森が振込管理画面をき、と並んで子承認をう。最の確認画面に《取消》の赤い文字が表示された。
1452分。
15の8分に、860万円の送は止された。
森が取消完の画面を印刷し、と崎が刻を確認して署名した。プリンターからてきた1枚のを見て、由はようやく浅く息を吐いた。派な音も歓声もなかったが、正が守ろうとしたは確かに会社へ残った。
達也のスマートフォンが鳴った。通話から「今の返済はどうする」「入がなければ渡りになる」という声が漏れている。達也は慌てて音量をげたが、もう遅かった。
「このが入らなければ、今を越えられないんだ」
達也が絞りした言葉によって、860万円が運送の払ではなく、彼の会社の借を埋めるだったことがらかになった。
その、崎のもとへ警察から話が入った。
逮捕された3の携帯話から、達也と千鶴子の指示が見つかったという連絡だった。