"共通テストで950点を取った私より、880点だった妹だけを家族は祝った" 第5話
1分42秒の録音
会議のスピーカーから、美空の落ち着いた声が流れた。
『私を働かせるのに、会社には働いていないと申告するの?』
続いて聞こえたのは、正自の声だった。
『正直にいたら、2万円が止まるだろう。おはにいることにしておけばいい。料は現でもらわせるから、会社には分からない』
わずか1分42秒の録音が終わるまで、正は度も顔をげられなかった。の利いた内なのに、シャツの背には汗が広がっている。
壁の計の秒針だけが、やけにきく聞こえた。昨までなら、このは部3を連れて取引先を回り、次の支候補として振るっていたはずだった。正は社内で、規則と数字に厳しい司として通っている。経費精算の領収が100円わないだけで部をたせたこともあった。その自分が今、2万円をごまかすための声を、法務担当者ので聞かされていた。
「これは族内の会話です。実際にはまだ美空を働かせていませんし、当だって正に受け取ってはいない」
ようやく絞りした反論に、鈴は現況確認をねた。
「問題を分けましょう。娘さんのを誰が決めるかは、ご庭の問題です。しかし、この類は会社に提されたものです。あなたは《記載内容に相違ありません》という欄へ署名し、娘さんの本確認欄にも署名がある」
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法務担当者が、美空から届いた跡資料を横に置いた。へ提した希望票と、現況確認の文字はらかに違う。正は唇をなめ、妻がいたのかもしれないと言いかけたが、その言葉をみ込んだ。認めれば恵子に責任を押しつけ、否定すれば自分の虚偽が残る。
「族を助けようとしただけです。妹を京の学へかせるにはがかかる。姉がに残って支えるのは、おかしな話ではないでしょう」
正は事を説すれば理解されるとった。しかし鈴の表は変わらない。
「会社は、あなたの庭のために虚偽の族当を支する制度ではありません」
さらに机へ置かれたのは、《族当申請の誓約事項》だった。故の虚偽が判した、支止や返還だけでなく、就業規則に基づく処分の対象になる。正自の印が、最段にはっきり押されていた。
鈴は、調査が終わるまで正を顧客対応と支昇格審査からすと告げた。午の商談も部へ引き継がれ、社用パソコンの申請権限まで止される。
「今からですか? 午の商談は、私が半かけてまとめた案件です」
「だからこそ、取引先へ説が必になるにします。神さんは、調査期、事部が指定した待席で資料理をしてください」
会議をた正が営業部へ戻ると、自分の机から顧客ファイルが運びされていた。
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いつも真っ先に挨拶する部たちは目をわせず、支だけが「会社の指示に従え」と告げた。役職も名札もまだ同じなのに、周囲の空気はすでに正を管理職として扱っていなかった。
「たかが2万円で、そこまでするんですか」
「額だけの問題ではありません。発覚しなければ48か続ける計画だった、と録音の内容から判断できます」
480万円を作るはずだった計画が、今度は正のを崩し始めていた。
事聴取を終えて会社をると、正は美空へ話をかけた。だが、呼びし音さえ鳴らずに切れた。焦って恵子へかけ直したとき、受話からを破くような音が聞こえた。
「あなた、美空宛ての類がてきたの。学の名があるから、机の奥を探していたら……」
恵子の声は震えていた。
封筒の差は、域未来育英財団。に入っていたのは、美空の付型奨学に関する通だった。
《額15万円、48か。付予定総額720万円》
そして、そのには赤字でこう記されていた。
《本の変更により、辞退続きが完しました》