"共通テストで950点を取った私より、880点だった妹だけを家族は祝った" 第1話
に落ちた950点
41、午817分。
神正は、勤途の内で会社からの話を受けた。
「事部の鈴です。娘さんの美空さんから、今朝、防学へ入するとの申告が届きました。ところが、神さんが先提した現況届には『就職予定なし・収入見込み0円』とあります。これは、どういうことでしょうか」
ハンドルを握る正の指から、みるみる血の気が引いた。赤信号に変わってもブレーキを踏めず、ろから鳴らされたクラクションで、ようやくに返った。
「防学……? 娘が、ですか」
「本午10までに、事実関係をご説ください」
通話が切れたあとも、正はスマートフォンをに当てたままけなかった。
そのか半、共通テストを終えた曜の夜。神のリビングには、恵子が奮発して買った特寿司と、さな苺のケーキが並んでいた。
双子の妹、梨奈の自己採点は1000点満点880点だった。
「やっぱり梨奈は本番にいな。これなら京の第志望も狙えるぞ」
正が嫌でグラスを持ちげると、恵子も「塾に通わせた甲斐があったわ」と笑った。梨奈は何度もスマートフォンで寿司とケーキを撮り、友たちへ送っている。
美空は、温かい噌汁をよそい終えてから、自分の採点表をテーブルの端に置いた。
「私は950点だった」
瞬だけ、の線が数字に集まった。
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梨奈より70点い。けれど、正はをに取ると、最まで見ようともせずへ落とした。
「おの話はあとでいい。今夜の主役は梨奈だ」
「でも、お姉ちゃん、国を受けるつもりもないんでしょ?」
梨奈は悪びれずに笑い、皿の最のトロを自分のへ引き寄せた。
「点数だけくても、使わなきゃないじゃない」
美空は反論せず、が乾杯する音を聞きながら、卓に残った空の皿をねた。の利いたリビングとは違い、流し台のはえていた。蛇から落ちるが指先に触れるたび、胸の奥に沈めてきたものまでたく固まっていくようだった。
洗い物を終えるころ、正たちは梨奈の京活について盛りがっていた。駅にい部がいい、具はでそろえたい、休みにはで見にこう。そこに美空の名は度もなかった。
それは今夜に限ったことではない。模試で美空が県内10位に入ったとき、正は「姉なら妹を教えて当然だ」と言っただけだった。梨奈の成績が20位がったは、族で焼肉へった。美空が朝の聞配達で貯めた参考代も、梨奈の期講習には惜しみなく使われた12万円も、では同じ「娘の教育費」として語られてきた。
以の美空なら、それでも自分がすれば族がうまくいくとっただろう。
しかし今夜、950点のに残された靴跡を見たとき、初めてはっきり分かった。りなかったのは点数でも努力でもない。最初から、自分の努力を祝う席だけが用されていなかったのだ。
夜、族が寝静まってから、美空はに落ちた採点表を拾った。正の靴跡が、950という数字のにく残っていた。
美空はそれを丁寧に拭き、自の机の引きしをけた。類のから取りした茶封筒には、昨12の付と、防学の名が印刷されている。
すでにの試験を受け、格していた。共通テストは、教師に勧められて受けた最の確認にすぎない。
美空は格通の「入確認」という文字を見つめ、迷いの残っていた欄にペンを置いた。
そして、はっきりと丸をつけた。