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"やさしい義母の消しゴム" 第10話

真由美さんは私を連れて会に入ると、誇らしげに周囲へ挨拶回りを演した。

「あら、真由美さん! お久しぶりね」 「まあ、皆様。お元気そうで何よりですわ」

真由美さんは、うっとりするような気品ある笑顔で応じる。そして、私の肩を抱き寄せた。

「こちらは、息子の哲也の嫁の麻美ちゃんなの。……ちょっと精神定な期があって、今は私がでお世話をしているのよ」

「まあ……真由美さん、お優しいわねえ」 「本当に。こんなに面倒見の良いお姑さん、今いらっしゃいませんわよ。お嫁さんも、真由美さんに謝なさらないと」

周囲からの賞賛の嵐に、真由美さんの頬が誇らしげに気していく。

「いいえ、私にできることなんてほんのしですわ。この子がしでも穏やかに暮らせるなら、私の老なんてどうなってもいいとっておりますの」

ハンカチで目元を拭う真由美さん。周囲からは「素らしい」「まるで聖母だ」と嘆の声が漏れた。

私は静かにげ、声をさずに怯える「愚かな嫁」を演じ続けた。

(お義母さん。その『聖母』の仮面、ずいぶんそうですね)

私は袖に隠したスマートフォンの画面を、親指で度だけタップした。 『法律事務所・橘』へ向けた、最図(シグナル)だ。

。宴会が段落し、会の脇にある「会議B」へと移した。

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には、真由美さんに呼びされた関の担当者と、域福祉協議会の役員、そして仕事を途で抜けしてきた哲也が待っていた。

「母さん、遅かったじゃないか」

「ごめんなさいね、哲也。挨拶回りが引いてしまって」

真由美さんは央の席に腰掛け、バッグから綴りの分類を取りした。

「さあ、麻美ちゃん。ここに座って」

テーブルのには、あの千万円の連帯保証契約、そして私からすべての財産権を剥奪する任見制度の申請類がずらりと並べられた。

「ここに、あなたの名いて、印鑑を押してちょうだい。これで全部、終わりよ。あなたは何も配しないで、静かに病気を治せばいいの」

真由美さんは万を握らせようと、私のを掴んだ。 哲也も脇から「ほら麻美、くしろよ。母さんを待たせるな」と催促する。

にいる誰もが、私が言われるがままにサインすると疑っていなかった。

私は万を受け取り、じっと類を見つめた。

「……お義母さん」

「何かしら、麻美ちゃん? きなさい」

「この千万円の債務って……お義母さんが、伊豆の投資で失敗して作った借ですよね?」

瞬、部の空気が凍りついた。

真由美さんの顔から、すっと血の気が引いていく。

「な、何を言っているの麻美ちゃん? 病気のせいで混乱しているのね……!」

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「いいえ、混乱していません」

私はゆっくりとがり、粗末なチュニックの裾を静かにえた。

「それから、この申請。私を『精神疾患』だと証するために、あなたが私に黙って所のクリニックで捏造したカルテのコピーが添付されていますね」

「お、お……! 何を言しやがるんだ!」 哲也ががり、私を睨みつけた。 「母さんがおのためにどれだけ尽くしてきたか忘れたのか! この恩らずが!」

「哲也さん」

私はまっすぐに哲也の目を見つめた。その徹な線に、哲也が瞬たじろぐ。

「あなた、お母様が毎に通って、何をしてくれていたかっていますか?」

「何って……掃除と事だろ!」

「いいえ。彼女がしていたのは、私の『の消』です」

私はバッグから、冊のバインダーを取りし、テーブルのに叩きつけた。

コン、と静かな音が会議に響き渡る。

「過の、防犯カメラ映像の解析データ。から消えた私の私物のリスト。そして、お義母さんが私に毎ませていた『麦茶』から検された、製抗薬の微量成分の鑑定です」

真由美さんがガタガタと震え始めた。

「な、何よそれ……! そんなの嘘よ! この子はがおかしくなっているんです! 皆様、騙されないでくだ――」

その

会議なドアが、から静かにかれた。

「――騙されているのは、真由美様、あなたの方ですよ」

黒のつ揃いスーツを着こなした、髪の紳士が入ってきた。 そのろには、警察官と、ホテルの支配、そして教育OG会の会である元の姿があった。

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